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02 それでも部長


俺はこの人のノロケ気話聞くためにこの部活入ったんか?




いや、ちゃうやろ。





「そんでそのとき木下がな」


かれこれ20分。俺は部長からノロケ話を聞かされとる。今日は朝から曇っとって、4時限目の途中から雨が本格的に降り出した。雷も結構凄くて(そのたび女子が騒いでうざかった)、今はその時よりはマシやけど。雨は降っとる。部室の外は、夜かっちゅーくらい真っ暗や。


「聞いとんのんか?財前」
「……謙也さんら遅いっすね」
「…シカトかい」


俺は部長を無視し、窓から校舎を見る。1階も2階も3階も、どの階も電気は付いとった。今日は全校委員会の日で、早めに終わった部長と俺は多分まだ委員会中の他の部員を部室で待っとる。ちゅーか、こんな雨降ってんねんから今日くらい休みにせえや。


「財前」
「…なんすか」


またシカトかましたろうか思ったけど、流石に名前呼ばれてそれはあかんな思い、返事を返す。


「腹減ってへん?」
「はあ、まあ。ぼちぼち」
「クッキーあんねんけど」


食べるか?そう言うて部長は鞄からなんややけに可愛らしい紙袋を取り出した。



「ええんすか?」
「おん。食べや」


紙袋を開けると、クッキーの匂いが鼻をくすぐる。きっとまた部長のファンからのやつや。なんか知らんが部長はモテる。有り得へんやろっちゅーぐらいモテる。クラスの女子から、何回部長のアドレス教えてくれ言われたことか。ホンマに引いたんわアレやな。住所教えてくれ言われたとき。


「部長食わんのですか?」
「ああ。俺はもう食ったからええねん」
「…………」


意外や。まさか部長が木下先輩以外の女子から貰ったもん食うやなんて。貰ったときは必ずこうしてテニス部員にあげてんのに。て、なんやコレ。クッキーになんか文字書いてある。あ。こっちのやつにも。なんや見覚えある字やな。き、蔵、大、ノ、……………


「…部長」
「どないしたん?」
「これ、誰から貰うたんすか?」
「誰からて、木下以外に誰がおんねん」
「…………」
「木下から俺への愛が詰まったクッキーや。よう味わって食べや」


うわ。もうめっちゃうざいわ。今のんで食べる気失せたわ。


「…これ、」


「?」


文字の書かれたクッキーを部長に手渡すと、訳の分からん様な顔をされた。…気付いてなかったんかい。


「木下先輩から部長へのメッセージみたいっすよ」
「!!」


そのクッキーは全部で6枚。部長はそれを見ると、なんや(きっしょいくらい)顔を輝かせた。


「財前財前!゙大好き蔵ノ介゙やて!!」
「…見たら分かりますわ」
「普段こんなこと言うてくれへんのに…ホンマ照れ屋さんやなあ」
「…………」


うっざー。(本日2度目)

木下先輩も木下先輩やで。普段は部長に厳しいくせに、こういう事するから部長も舞い上がんねん。すると部長は、俺の手からクッキーの入った紙袋を奪い取った。


「やっぱ俺食べるわ」
「…………」











うっざー。(本日3度目)



























ある意味バカップル
(あ〜、やっと委員会終わったわ〜。ん?財前からメールや)(はよ来いやボケ)(…俺なんかしたか?)








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あきゅろす。
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