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01 ホンマもんの


「小春〜」
「寄んなや一氏」
「………」


うちは一体、いつまでこのやり取りを見なあかんのやろか。


「ええ加減諦めや」


うちの隣でメソメソなく男、一氏ユウジ。そいつにとって今最も適切なアドバイスを送ると、コイツはあろうことか鋭い目でうちを睨んだ。(目、涙溜まっとるっちゅーねん)


「うっさいわアホ!お前にアドバイスなんか求めてへんっちゅーねん!」
「…さいですか」


うちはホンマのこと言うただけやのに、何でこいつにアホ呼ばわりされなあかんのん?ちゅーか、もう隣で泣くのやめてや。うっとい。心の中でそう思いながら、一応笑顔は向けておく。一応な。


「一氏」
「なんや」
「小春ちゃんのどこが好き?」


休み時間も残り3分。次の授業は確か英語やったなと、机ん中から教科書を探りながら一氏に聞いた。


「………」


が、返答がない。



なんやシカトか思い隣を見ると、一氏は黙って机に顎を乗せていた。唇を尖らせた一氏は、まるでアヒルそのものや。


「…分からん」
「は?」


数秒後、返ってきたのは意外な言葉やった。分からん?なんやそれ。あんだけ毎日飽きもせず、


「小春好きや〜」
「小春ラブー」


言うてるくせに?


「分からへんの?」
「おん。分からん」
「それって…」
「けど好きや」


ホンマは好きやあらへんのとちゃう?うちのそれは、一氏の力強い言葉によって消されてしもた。


(なんや、こいつ)























ホンマもんのホモやん
(はあ〜、授業真剣に聞く小春も堪らんなあ)(一氏、あんた今当たってんで。)(一氏ィィ!早よ前出て問題解けえ!!)







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一氏って絶対、好きな子ほどなんとやら、てタイプだと思う。
20090504








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