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最遊記ドリーム
カタカタ[後編]





「まあ、概要を述べるとだな」
 合紅先生が紙に描いて説明を始めた。
「お前の『こっち』での力は、思い描いた世界を作り上げる能力だ。そしてその異世界を自由に行き来する。要するにここはパラレルワールドだ。別のお前が存在し、生活する異世界。そしてこちらへ着いた時、タイムトラベラーの高広と接触した事でさらにその二年後へと飛ばされてここにいる」
 難しいがある程度の仕組みは理解できた。ここは異世界で、更に未来な為、こちらの自分は十九才。今はどこで何をしているのだろう?しかしそれどころではない。まだ疑問点は大量に残っていた。
「鈴ちゃんの能力カラーはパープル!世界にただ一人の……」
 息を吸って溜めた女生徒の言葉を、先生が横取りする。
「パラレルワールドメーカー、及びトラベラーだよ。君のいた世界はどんなだったかな?」
 先生と言うよりカウンセラーに近いイメージで、緑川先生が鈴環を帰す為に三蔵一行の話を聞き出した。
「そこへ帰ろうね」
 帰れる方法がちゃんとあるらしい。だが帰る前に、鈴環はこの不思議な世界を見学してみたいと思っていた。辺りを見回す。一見普通の校舎のようだが……こちらの自分はこの教室のどこかで、不思議な授業を受けていたのだろうか?それはどんな?出会ったこの人達は自分の事を知っていたが、それはたまたま自分の友人達と出くわしただけなのだろうか、はたまた自分は有名人だったのか。鈴環は異世界に迷い込んでしまった事も忘れて空想を膨らませ始めた。ところがそこへ現実主義らしき高広が一つの疑問を投げかけて、鈴環の夢想をストップさせてしまう。
「でも、前の世界で能力なかったなら、力使ってこっちの世界にやっては来れないだろ。鈴環ちゃんはどうやって来たんだ?」
 それは確かにもっともな意見だ。鈴環自身、こんな事は今まで一度もなかった。すでに馴染んだ素振り。頭の回転の早さは、こちらの世界で秀才だっただけの事はある。ふと合紅先生が思い出したように尋ねてきた。
「俺の顔に見覚えはないか?」
 鈴環はきょとんと彼を見返した。何の関係があるのか?
「そうか。『こちら』では合紅先生と接触したのが彼女の能力発現のきっかけだったね。向こうで眠っていた彼女の力が『あちらの世界の合紅君』と接触する事で発現したのかもしれない」
「こんな地味な顔覚えてっかなー?」
「悪かったな……」
「あ!」
 鈴環が声を上げた。
「え、分かったのか?記憶力いいなあ。さすが!」
 思い出した。あの時の……。
「ねぇ鈴ちゃん!向こうのアイコちゃんてどんなのー!?」
 興味津々、好奇心の強そうな時子が、本題から逸れて大喜びで顔を近づけてきた。
「そうだわ。確か宿屋でマッチをくれた、番頭さん……!!」
「宿の番頭……」
 全員が顔を見合わせてから合紅先生に視線を送る。
「番頭か……」
 反応を待つような表情に囲まれて諦めたように彼が俯くと、それを合図に三人共が大爆笑の世界へと飛んで行ってしまった。別に番頭さんも立派な仕事だが、彼はこちらの世界では、エリート中のエリートで通っていたそうな。





「まず移動しようか。えーと、二年前にはこの部屋使われてなかったから、ロックは外れているよね」
 緑川先生はそう言いながら、ドアの横についていた機械の箱を操作した。小さく高い音が次第に低くなって、何かの機械が止まったのが分かる。この学校は、校内全てに能力抑制電波なる物が出ているのだと言う。生徒の超能力乱用を避ける為で、テレポートやタイムトラベルを行う時なども、このロックが外れている部屋のみでしか移動ができないらしい。鈴環が来た時には、検査の為、たまたま廊下のスイッチが切られていたのだ。
 高広に全員が触れると、一瞬視界が歪んだ。しかし何も変わった様子はない。机と椅子が少しだけ移動している。
「とりあえず二年前に来たよ。あとは鈴環君、自分の力で帰るんだ」
 自分の能力?だけれども、そんなのどうやって……?
「そういや何で鈴環ちゃんはここに来たんだろ?」
 少し疲れた表情で高広が第二の疑問を持ち出す。来る前の事を鈴環は思い出していた。
「マッチ箱を振っていたわ……」
 全員が理解しかねて顔をしかめた。その意味を求めて話の続きを催促する。
「箱は五本のマッチが入っていたの。あたし達と数が同じだから、それをあたし達に見立てて振っていたわ。そうだわ、あたし、一本だけマッチを箱から飛び出させてしまったの。それが原因かしら?」
 繋がりがよく分からず皆唸り出したが、一人だけ察してくれた者がいた。
「なるほど、マッチが自分達だったら……か。その時鈴環の力が発動して、その考えが本当に現実となってしまったんだな。そして飛び出した一本が、能力を持っている人物に見立てたマッチだった為にこの異世界まで飛んで来た。他のマッチだったら窓の外に飛び出すくらいで済んだかもしれないがな」
 合紅先生が意地悪く笑う。その笑顔には『幸いだったな』との意味が込められている気がした。素直じゃないのが誰かに似ている。もしその憶測が正しいのであれば、本当に幸いであった。泊まっていた部屋は二階だったのだ。鈴環なら着地点は窓の外ではなく異世界だから怪我などしない。飛び出したのが自分に見立てたマッチで良かったと、鈴環は心から思った。それでも、彼女の能力が今回の原因となっているのだ。四人は今頃どうしているだろう。あんないなくなり方をして、さぞ心配しているに違いない。
 思案に暮れる彼女の前にひょこんと時子が顔を出した。
「お友達の事が気になるのね?」
 鈴環は困ったように顔を上げた。





 先程思った通りに、意外と気を遣うらしい人物が一つの提案をしてきた。
「高広、今から一分前の彼等の映像を、見せてやれ」
 しかし先輩教師がそれを制止する。
「ダメですよ、合紅君。いえ、先生。世界が違いますからここでの彼等しか見せられませんよ。『こちら』では鈴環君とは知り合いですらないかもしれないんですよ」
 緑川先生に制止され、間違った命令を下した合紅先生は、立場なく時子と高広に笑われてしまった。
「どしたのよ、アイコちゃんらしくもない。あーでも、鈴環ちゃんの事になると昔っからそっか!はははー……でっ!」
 高広のからかいにたまりかねた鬼教師のげんこつが飛ぶ。鈴環にはその手がハリセンに見えてしまった。懐かしい光景に帰りたいという思いもよぎったが、それよりもこの異世界に興味を引かれてしまっていた。何より、高広の放った言葉から、合紅先生が何となく気になってきたのだ。表情のあまり出ない彼は、こちらの自分と一体どんな関係なのか。彼は自分にとって優しい人でいてくれたのだろうか。そして自分も、彼をどう思っていたのか……。
 そんな想像を次々巡らせていると、誤解した時子が同情の眼差しを向けてきた。
「そうだよね、力のない普通の鈴ちゃんはこっちの世界何が何だか分かんないよね。あたし達にはどんな鈴ちゃんも大切なお友達だけど、鈴ちゃんの大切な人は向こうの世界にしかいないんだもんね。帰りたいよね……」
 時子の言葉に鈴環ははっと我に返る。そうだ、今頃鈴環の大切な人はどうしているのだろうか。特にあの『彼』は……?ここにいるみんなのように、自分の心配をしてくれているのだろうか?もし、もしもそうならば……!
 その時突然、目の前の世界が激しく動いて視界がブレた。鈴環の心が強く揺れ動いたのと同時に空間が歪んだのだ。平行世界を移動する、それは紛れもない鈴環だけが持つ能力だった。
 重なって揺れ動く映像の中に、三蔵、八戒、悟浄、そして悟空がうなだれているのが見える。鈴環は驚いて目を見張った。
「今帰るのは、能力が不安定で危ない!鈴環君、そのまま彼等に集中して!」
 言われるまでもなく、鈴環は四人に釘づけとなっていた。見た事もない暗色を放つ彼等に、思った事はあの時と同じ。……箱を揺らしてみたい!!
 鈴環に触れる緑川先生、彼は合紅先生の腕を掴んでいる。信じられない事に、静かに下を向いていた彼等の声が聞こえてきたのだ。口は動いていない。これは……、テレパス?それじゃあこの声は?
 彼等の心の声…………!!


10


 三蔵の案に従った一行は部屋の中で各々散らばって、ただ時が流れるのをじっと待っていた。無言の筈の彼等の叫びを、鈴環だけが聞き取っている。普段から常々思っていたのだが、彼等は自分をどう思っているのだろうか。彼女の旅の目的だけが、一行の旅の目的と沿ってはいなかったのだ。こんな時には何だか置いて行かれそうで、鈴環は気になって仕方がなかった。
 鈴環に何かあるといつも助けてくれたのが悟空。そっと耳を傾ける。
(どこ行っちまったんだよ、鈴環。俺、助けられなかった……。自分の事ばっかで。鈴環、ごめん、鈴環……!)
 頭を抱えた悟空の痛みがそのまま神経に伝わってきた。こうなってしまったのは鈴環自身のせいなのに、悟空はひたすら自分だけを責め続けているのだ。鈴環の表情が悲しげに曇り出した。
 赤黒い異世界へと放り投げられる鈴環の映像が繰り返し繰り返し流れる。これは誰の後悔の念?悟浄がしかめ面で錫杖を何度もいじり回していた。最後まで手を伸ばしてくれたのは彼だったのだ。いつもの調子はかけらもなく、錫杖の鎖を掴めなかった事に、鈴環も後悔の念を覚えた。
 赤い、紅い血の海で鈴環が泣いている。かつて、助けられずに目の前で消えてしまった最愛の人が八戒には存在した。透けた彼女の姿が、鈴環の映像と重なって見える。その時の悲しみをダブらせてしまった事の証明だった。切なさだけが流れ込んでくる。
(鈴環は一体どこに……?どんな辛い思いをしているのか。寒くはないか、怖がって泣いてはいないだろうか。なぜあの時、自分はまたしても助ける事ができなかったのか……)
 自分がここで無事にいる事を伝えたくなった。皆、鈴環を心配していたのだ。
 そして彼女は最後の一人に集中する。お経のように何かを唱えているが、よくは聞こえない。耳をそばだてようとした時、また映像が変わった。場所は変わらず、八戒が部屋に入って来たところ。
「階下の客に聞いてみましたが……」
 いつの間にか高広が、自分の肩に触れていたのだ。これは過去の映像だ。
「……西に決まってんだろ」
 え、と鈴環の胸がキリキリと締め上げられた。悲しげな顔で三蔵を見つめる。やはり自分は置いて行かれるのだろうか……?
 そのまま聞いていると、最後の言葉が耳に残った。
「賭けるしかねぇな……」
 気づくとそれは呪文のように繰り返されていた。声に出された物ではない。
 うなだれた三人とは少し違う。わずかだが顔を上げ、無表情で煙草をくゆらす三蔵の姿がそこにあった。
(賭けるしかねぇ。賭けるしかねぇならしっかりと賭けてやるさ。悟浄の言った通りだ、あの女は必ず『帰って』来る。ここに興味がなくなったのならいつでも出て行けばいい。だが、自分の意志で消えたのでないなら……待つくらいはしてやるさ。賭け金は俺の一日分の時間だ、遅れんじゃねぇぞ。もしも遅れたら……、次は俺の一日分の労力を無駄にしなきゃならねぇからな……)
 いつも何を考えているのか判別のつきづらい表情の裏側を、鈴環は今はっきりと見て取った気がする。彼から向けられた自分への願いが、鈴環には嬉しかった。西へ向かうメンバーは五人と、彼の中ではすでに決定しているらしい。自分がここまで信頼を勝ち取っていたなど、夢にも思っていなかったのだ。
「帰りたい……」
 寂しげに微笑んでそれだけ言うと、彼女は目を伏せて俯いてしまった。触れていた手がそっと離れる。ふっくらした頬を伝って涙が零れ落ちていった。


11


「『あたし』の居場所はここではないわ。どうすれば帰れるの?」
 鈴環はゆっくりと顔を上げた。復活した優しい笑顔には決意の瞳。
「帰りたいと強く願えば帰れる。大丈夫だ」
 そう言う合紅先生の表情は多少複雑な物に見えた。『こちら側』ではどういう関係なのだろう?未だ少し気になるところである。
 鈴環の涙をハンカチで拭きながら、時子が最後の疑問を持ち出してきた。
「鈴ちゃんは、どうして箱を振ったの?カタカタって……」
「箱を……あたし達の入った箱を……?それは……」
 カタカタと振ったのは、カタカタと……ああ、そんな事より早く帰らなくちゃ……。
 鈴環の心は二つの題目を持った為に集中を欠いてきた。
「おいこらとっこ、能力使うには集中力めっちゃいるんだぜ!邪魔しちゃダメだろーが!目的地ズレたらヤバいだろ!」
 目的……。
「元気が良すぎるのも困りものだねぇ」
 元気!そうだわ!
 そのセリフに、分散した鈴環の意識は一気に統合された。
「思い出した!そうよ、あたし帰らなきゃ!!」
 しっかりと決断した彼女に向かって、やっと全員が安心した笑顔を向けた。にっこり目を細めると、緑川先生が優しく応じた。
「そう?じゃあ、行くよ?」
 彼は合紅先生に触れながら、笑顔のままで鈴環の額に指を立てた。瞬間、帰る際に必要な情報が頭の中へと大量に流れ込んで来た。テレパスだ!
 帰りたいと一心に願う気持ちが能力発揮の源である事、『向こう側』での能力再発を抑える世界を鈴環自身のパラレルワールドメーカーの力で事実として作り上げるよう努める事、補完にテレパスで『こちら側』での記憶を封じる暗示をかけてくれる事、この目覚めたばかりの不安定な力を安定させて使う為、そしてこのテレパス送信はテレパス受信能力の高い者でなければ会話が不可能であるが為の、補助を行うのが合紅先生である事等……。
(またな。いや、もう二度と『こっち』へ迷い込んで来るなよ、鈴環)
 テレパシストを通して、彼の心が伝わって来る。
「アンプ……?レッドのマークは、他人の能力増幅器……」
 鈴環の力は夢の世界。彼の能力は他人を支える為にある力。それはきっと超能力でなかったとしても、現実に影響を大きくもたらす『思いやり』という彼の宝箱。
 素敵ね……。そう笑顔で答えた時、緑川先生の手が離れ、合紅先生が軽く鈴環を小突いた。最大限に増幅された能力は、目的の座標をしっかりと捕らえ、鈴環の記憶と体は異次元へと瞬時に飛ばされて行った。


12


「「「鈴環っ!!!」」」
 宿の部屋の隅で、鈴環はぼんやりと立ち尽くしていた。時はもう深夜。誰も寝てはいなかったようだ。
「どこへ行っていたんです?大丈夫でしたか!?」
「あら、あたし……?」
「何、どったの?もしかして、何も覚えてないとか言う??」
 悟浄が錫杖を握ったままで呆れた顔をしながら近づいて来た。
「鈴環ーっ!!」
「きゃあっ!」
 悟空が鈴環の背後から突進して腰に抱きつく。泣きそうな顔を堪えているのが分かった。
「ごめんなさい、心配かけちゃって。あたしは……大丈夫よ」
 いつもの柔らかい笑顔に、八戒は大きく息を吐いて両手を膝に当てた。悟浄も口元をほころばせて、いつもの調子を取り戻す。
 今までどこで何をしていたのか、鈴環もさっぱり覚えてはいない。だが、床が開いて自分がどこかへ消えた後、皆がどれほど自分を心配してくれたかだけは、なぜか知っているような気がした。
 悟空を張り付けたまま、鈴環は三蔵に向き直った。目を合わせてくれたのは一瞬で、すぐに不機嫌そうな顔に変わる。それでも出迎えの言葉を投げかけてくれた。
「……遅ぇんだよ」
「ごめんなさい」
 鈴環は笑顔のまま、心から謝った。この乱暴な一言が、彼女にはどれほど暖かく感じられた事か。誰にも想像はつかないのだった。
 テーブルの上は八戒によって綺麗に片づけられ、マッチ棒も箱の中へ五本、きちんと収められていた。鈴環は愛おしそうにそれを両手で包み込んだ。


13


 一夜が過ぎ、一行の人数も変わる事なく出発の朝を迎えた。
 チェックアウト時の無愛想な眼鏡の青年に、鈴環は少しだけ好感を持ったが、すぐに忘れてしまう。ジープの上で夕べの想像を進化させるのに夢中だったからだ。
(どうして箱を振ったの?カタカタと……)
 心の中で誰かが問いかける。
(ふふ、それはね……)
 四人を見渡しながら鈴環は昨夜の光景を思い浮かべていた。
(みんなが元気なさそうに見えちゃったから!)
 あの時、いつもは騒々しいくらいの一行が、疲れている訳でもない筈なのにやけに静かだったのだ。いつもの元気はどうしたのかな?少し心配になった鈴環は、マッチ棒を一行に見立てて、暴れている姿を想像しながら箱を揺らしたのだ。
「きっとあの時あたしだけ元気な想像をしてたから、勢い余って飛び出しちゃったのね」
「ん、何……?」
 鈴環の独り言に眠そうな悟空が反応した。
「何でもないの。ふふ、おやすみなさい」
 今日は全員寝不足である。八戒などはちょっと気の毒ではあるが、鈴環だけは自分の素敵な発想に感激して、眠気を退散させてしまっていた。
(きっとみんな、自分だけの箱をちゃんと持っているんだわ。いろんな形、いろんな大きさで、色や、音も……)
 会話もなく眠そうな四人。こうしている間にも、彼等は多分その箱を振っているのだ。そうやって好きな未来を作り上げている。万華鏡を回すように、箱をカタカタ、色とりどりの未来をカタカタ。中がどんな形になるかなんて誰にも分からない。それが楽しくて箱を振る。自分の人生全てを賭けて箱を振っているのだ。それは一人一人が持っている『個性』という宝箱。
 他人が他人の箱を振っても意味がないわ。それどころか、狂いが生じてしまうのよ。きっとまたみんなは元気をなくしてしまう。彼等は今も、自分で自分の箱を元気に振っている最中なのだから。あたしがいるだけで彼等が元気になってくれるなら、あたしが彼等の箱を振る必要はないの。きっと違うの。あたしと一緒にいてくれる為にも、彼等は自分の箱を今も一生懸命振っているんだわ)
 彼女は優しく微笑むと、さらりと髪を流して青空を見上げた。
(何が起きてもきっと大丈夫。辛い未来になった時、きっとあたしにも箱を振る事ができる筈だわ。彼等が自分を信じて箱を振り、未来に賭けてくれるように。あたしだって彼等を信じて箱を振る事ができる筈よ。もしかしたら、昨日あたしが振っていたのはあたしだけの宝箱だったのかもしれないわ。だからこそ帰って来れたのかも。彼等の選択がいつも、あたしに箱を振るチャンスを与えてくれているのだから……!)
 楽しい未来を作る為、みんないつでも一生懸命に箱を振ってる。カタカタ、カタカタ。全ての出来事はそのお楽しみの結果ね。そして自分の箱は自分にしか振れないの。あなただけの大切な宝物よ。だから、カタカタ、カタカタ……。ね、あなたもそうでしょう?


 '04/07/28


《了》



オリジナル小説『DOUBLE!!』本編キャラ集合の作品です。オリジナル色濃すぎるわ。あの小説テーマは沢山。その一つに、特別な人(超能力者等)は生まれつきで、自分とは違うからできるって逆差別的見方じゃ意味ないなって。努力したから強くなる。辛さも沢山味わってる事を忘れないよう。それによってラストの感じ方も変わると思います。





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