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[番外編]
05/01日
黒澤の小さな呟きを、二人は見逃さない。

『…遊希くんと一緒に、ですか?』

少し厳しい声音の副会長に、
保健医の黒澤の眉根が寄る。

『柿崎、お前……眼鏡っ子が気になるのか?』

黒澤はおいおいと内心思いながら、
軽く冗談で言ったつもりだったらしい。

らしいのだが…
なのに目の前の柿崎は、穏やかな目をさらに厳しくさせて。

『気になりますよ』

と断言した。

そして次に柿崎の口から発された言葉に、
保健室の中に微妙な空気が流れてしまった。

『遊希くんは、俺の子供なんですから』

『…!?』

さすがの白龍も驚いてソファーから起き上がり、柿崎を凝視した。

そして、保健医である黒澤も目を丸くして、
白衣が肩からズレ落ちる気配がした。

『…亮、それは聞き捨てならねーな』

起き上がった白龍正吾が、異論を唱える。

『何か議論でも?……正吾』

『…ある』

『じゃあ、なんだ』

柿崎は少しばかり歪めながら、
白龍に訊く。

白龍のつり上がった唇が開くと。

『あれは犬だろ』

と、さぞかし当たり前のように。

『正吾……』

柿崎はなんとも複雑な表情で、
仲間である白龍の名を呟く。

『白龍…なんだよ、それは…』

黒澤はズレ落ちた白衣を着直しながら、半ば呆れたような顔をしていた。

そして長い足を組み替えた白龍は、又しても。

『アイツは珍獣だ』






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