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The flower of Eden
No.1 バンエルティア号

緑の髪の女性ーーファラさんが安堵したように笑みを浮かべた


体を起こそうとすると、体中がズキズキと痛む


痛む左目をおさえながら思わず顔をしかめた


「あ、無理しちゃダメだよ!
ナツメ、3日間も眠ったままだったんだから………」

『みっか………?』


ファラさんの補助をうけながら上体を起こす


『………………?』


妙な違和感がした


そっと、左目をおさえている手を外す


『…………あ、れ…………?』




なんにも、見えない



『あ、れ……!?
私の目……!?』

「どうしたの?」


急に慌てた私を心配そうに見つめるファラさん


『ファ、ファラさん!
か、鏡ッ!
鏡見せてもらってもいいですか?;;』

「?」


不思議そうな顔をしながら手鏡を持ってきてくれた


『ーーーーッ!!!?』


のぞきこんだとたん、思わず絶句してしまった


鏡に写った私は、だいぶ幼くなっていたからだ


左目はちゃんとあるが視力はなく、金に近い茶髪はだいぶ短くなっていた

今さらだが声も高くなっているし、恐らく身長もかなり縮んでいる


この姿は、まさか…………


『あの、ファラさん
変なことを聞きますけど…………

私今、何歳くらいに見えます?』

「え?うーん………
13歳くらいかな?」

『デスヨネー……;;;;;』


やはり、幼い頃の外見に戻っていた


……今頭に某少年探偵の名台詞が浮かびました


どうして体が縮んでいるのかはわからない
どうしてここにいるのかもわからない

ただひとつ言えることは
私はもう死んでいるのだということ


これからどうするのかを考えなければ……


「お目覚めのようですね」


不意に、第3者の声が聞こえた


「気分はどうですか?」


扉の前に立っていたのは、褐色の肌にベリーショートの髪をした幼い子供だった


「ボクはチャット
このバンエルティア号の船長です」


え?船長さん?
今船長って言った?
まだこんな幼いのに!?


驚きに口をポカンと開ける


「それにしても、どうして貴女みたいな子供が危険な場所に倒れていたんですか?」



今子供に子供って言われた。


『私もその辺の記憶は曖昧で…
気付いたらここにいたんです』

「モンスターに襲われたときのショックで記憶がなくなっているんですかね……?」

「ねぇチャット
ナツメを故郷に帰してあげようよ
この子の両親も心配してるはずだよ」


ファラさんが少し悲しげな表情で船長さんに提案する


両親、か…………


「そうですね……
その方がいいでしょう
ナツメさん、あなたの故郷はどこですか?
最寄りの港まで送ります」


『私の故郷は………』


俯き、シーツをぎゅっと握りしめる


『もう、どこにもありません』


大切な人もいない
帰る場所もない


〔あの時〕の光景を思い出す度、罪悪感が胸に突き刺さる


「それはどういう………!?」

「…………」

『私の大切な人たちはどこにもいません
帰る場所もありません

船長さん、お願いします
私をここに置いてください』


真っ直ぐに船長さんを見つめる

少しだけ視界が潤んできた気がする


「…………いいでしょう

貴女の身の上の話を詳しくは問いません」


『!
ありがとうございます!』

「ただし!」


ビシッ!!


私を指差す船長さん


「働かざる者食うべからずです!
しっかり働いてもらいますよ!!」


『は、はいっ!!;;
(働くとは一体何をすれば…………)』


「ファラさん、やりました!
これでまた子分が増えましたよ!!」

『へ?』

「子分じゃなくて仲間だよ
これからよろしくね、ナツメ!」

『あの、子分って…………え?』

「これで海賊アイフリードに一歩近付きました!!」

『矧C賊!!!!?;;;』


も、もしかして私、とんでもないところでお世話になるんですか……?;;;;


「あ、安心してナツメ
ここ海賊船じゃなくてギルド船だから♪」


『は、はぁ…………』


「今はギルド船ですけど!!
この船は由緒正しき海賊船なんですからね!!!」




…………どっちなんでしょうか



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