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The flower of Eden
No.1 生まれたての希望

空から降ってきた少年………基、イグニスくんはまだ目覚めない


今はゲストルームの一室で寝かせており、カノンノさんが看病をしている


目が覚めたら、彼を今後どうするか船長さんを交えて決めるらしい


「なんで空から降ってきたんだ?」

「嵐にでもあったんじゃないか?」

「どんな人なんだろう!」

「仲良くなれたらいいなぁ……」



他のメンバーはイグニスくんに興味津々だ


『(それもそうだよなぁ…)』


そんなメンバーを、私は少しはなれたところでぼんやりと見つめていた


『(何て言ったって空から落ちてきたんだもんなぁ………)』


興味を持つな、という方が無理な話だ


それにまだ誰も気付いてはいないだろう


彼があの《ディセンダー》だとは



ディセンダー

世界が危機に瀕したとき、世界樹が産み落とす存在



落ちてきた彼、イグニスくんがディセンダーなら世界が危機に晒されているということ


一体何が起きているのだろうか


残念ながら今の私にそれを知る術はない



『……こんな時、恭さんがいてくれたらなぁ………』



ぼんやりと空をながめ、無意識のうちに呟いていた


はっ、としたときにはもう遅い


「ナツメ〜?」


イリアさんがいたずらっ子………というかほぼ悪人面で私を見ていた


『(イイイイイリアさん!!?)
どうしたんですか?;;;』


声が裏返ったが、どうにかいつもの笑顔を浮かべる


「イッヒッヒッヒッ
聞いたわよォ〜〜?」

『(ドキーーーン!!)
な、ナンノコトデショウ?』


「「恭さん」って言ってたじゃな〜い?
誰?誰よソレ!」


『きょ、恭さん?
知りませんねぇ〜…
聞き間違いじゃないですか?;;』


すっとぼければ、にんまりと笑うイリアさん


『今ものすごく悪人面ですよイリアさん!;;』


「アンタが口を割らないのがいけないんじゃな〜い?」



ダメだ!面白がってる!!完全に面白がってる!!!


『あ、私彼の様子を見てこないと!!

じゃっ!!』


「あ、ちょっ、待ちなさいよナツメーーーッ!!!」



今までにないくらいの瞬発力を発揮し、その場から逃げ去る



「様子見てくるって言っても、今アイツあいさつまわりしてんのに……」




イリアさんの呟きは、走っていた私には聞こえなかった





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あきゅろす。
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