The flower of Eden
No.9 はじめての魔術
『キールくん、キールくん』
「?ナツメか
どうしたんだ?」
『魔術を教えてください!』
「いいぞ」
『あれ、なんかあっさり……』
忙しい!と言って断られるかと思っていたがそんなことはなく
私はキールくんから魔術を教わることに成功しました
+++++
「まずは初級術のファイアボールからだ」
『はい、キール先生!』
「先生………、」
「ナツメ、頑張ってね!」
『はい!』
キールくんとカノンノさんと共にサンゴの森へやって参りました
「まずは頭の中で炎の玉をイメージするんだ」
『はい』
目を閉じて、頭の中に燃え盛る炎の玉を思い浮かべた
「次はそのイメージを、自分の中にあるマナに乗せて具現化させる」
『はい、』
自分の中のマナ、というのは良く分からなかったが「いつもやっている」ようにイメージすれば
身体中を使い慣れた感覚がよぎった
頭上に仄かな温もりが生まれる
ふと見上げたそれは、橙黄色に輝く炎の玉だった
二人が息を呑んだ気がした
『ファイアボール』
手近にいた魔物へ向けて放てば、魔物は橙の炎に包まれて、光となって拡散した
「綺麗……」
ふいにカノンノさんが呟く
「ああ………綺麗だ……」
キールくんもその隣で頷いていた
透けるような橙黄色の炎
それは綺麗な、はずなのに、
『綺麗なんかじゃ、ないですよ』
私には、その炎が濁って見えた
(だってそれは、)
(私を救って助けて壊した証の色なのだから)
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