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The flower of Eden
No.8 大空少女桃色少女

懐中時計を腰のベルト部分に取り付けて
相棒のナッツを肩に乗せたまま、あてもなく商店街をぶらつく私


先ほどファラさんと合流すれば、もう少しかかりそうだと言われた


折角だから町を見て回ったら?と提案され冒頭に至ります



ぶっちゃけ、暇です



店のものは大方見てしまったし、もう特に欲しいものもないし


船に戻ろうと思ったが、戻っても暇なのには代わりない


さて、どうするべきか……


ベンチに座り空を眺めながら考え込む


ぽかぽかとした陽射しが照らす
膝の上でナッツが寝ている


ああ、平和だなぁ……


いつの間にかうつらうつらと舟を漕ぎ始める





「あのッ!!」


『買b!!!!!
ごごごごめんなさいごめんなさい!!
会議中に居眠りしててごめんなさい!!
もうしないから蹴らないでーーッ!!!;;』




「………え?」

『………………え?』



しばしの間。



『すみません、寝惚けてました』

「…あ、いえ……
こちらこそすみません………
(一体何の夢を見てたんだろ…?;)」


元家庭教師に半殺される夢を見てました。

え?
何故彼女の考えている事が分かるかって?

それは私は読心術を心得ているからさ☆




………キャラ崩壊してすいませんでした。


そんなことを心の中で考えながら頭を下げれば、目の前の人物は呆然としながらも私のように頭を下げ返した


その人物を見れば、薄桃色の髪をした可愛らしい女の子だった


『えぇっと……
私に何かご用ですか?』


「あ、はい!あの……ポスターを見たんです
私をギルドに入れてください!」


私が町の中に張り付けたポスターの1枚を取り出す彼女


『ギルドメンバーに…
分かりました、ついてきて下さい
船にご案内します』


「あの、それで……
私以外にももう一人いるんですけど………」

『構いませんよ
まだ始めたばかりのギルドですのでメンバーは誰でも大歓迎ですから』


人が増えれば船長さんも喜びます、と告げて彼女に笑みを見せる

ほっとしたように彼女も笑った


『それで、お連れの方はどちらに?』

「あ、呼んできます!」


そしてどこかに走って行ってしまった


ナッツを呼び寄せ、匣の中にしまうのと少女が連れを伴って帰ってきたのはほぼ同時だった


「あらあらまぁまぁ!
愛らしいなお嬢様ですこと!
こんな素敵なお嬢様の乗るギルドは素敵な所なんでしょうねぇ
それにホラ、あなたおモテになるでしょ?
今のうちに良い男を見繕っておかなきゃですわよ?
……あら、私ったら何を言ってるんでしょう」


恐らく中年であろう彼女は背中についた2枚の羽を使って宙にうかんでいる


なるほど、少女が不安に思う訳だ

この羽の生えた彼女を異質な目、好奇の眼差しで見る人が多いのだから


『それではご案内します
……その前に名前を聞いてもいいですか?』

「私、カノンノ・イアハートです!」

「カノンノさんとパニールさん、ですね
申し遅れましたが私はナツメ・アマルティアといいます

それから近くにもう一人いるんですが………
…………あ』


海へ続く道を歩きながら自己紹介をすれば、遠目にファラさんを見つけた


『ファラさん!』


名前を呼べばこちらを向いて手を振ってくれるファラさん。なんて優しい人なんだ!


「ナツメ、その人たちは?」

『新しいギルドのメンバーです』

「初めまして!
私、カノンノ・イアハートって言います」

「私はパニールと申します」

「ファラ・エルステッドです
これからよろしくね!」



なんでしょうこのほんわか空間は。
とてもほのぼのとした空気が流れています



…………ていうかパニールさん超可愛い。

後でハグしたら怒られますかね…?


「じゃあ早く船に戻ろうか!」

『はい!』


四人で色々と話ながら船へもどる


結局、出航するまでに入ったメンバーはカノンノさんとパニールさんだけだった


けれどパニールさんが家事全般を請け負ってくれているのでだいぶ楽に


そしてなおかつパニールさんのご飯美味しい
超美味しい

食べ盛りの子達も大喜びです




新規メンバーを迎え入れ、船は今日も進む…



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