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The flower of Eden
No.5 密航者2名様ご案内


3人はアメールの洞窟から戻ると、チャットに依頼達成の報告を済ませる


「あー………腹減った〜」

「今日の夕食はなにかしら?」

『楽しみですね〜♪』


ナツメはこの世界での戦闘はおろか、剣も使ったこともあまりなかったが魔物を倒すことができた


これも前世の剣士二人のおかげか、それとも「血」のおかげか……


『……!』


そんなことを考えていると、不意にだれかの気配がした


『(………二人………
この船のメンバーじゃない………)』


依頼人かと思ったが、どうやら違うようだ


と、言うことは……

『………密航者』


細剣の柄を握りしめ、足音と気配を消して倉庫へ向かう



「…………ナツメ?」


振り返っても、そこにナツメの姿はなかった……


+++

〜船底・荷物置場〜


「だ…誰もいない……よね?」


気弱そうな銀髪の少年が木箱の中から外を窺う

「なーにビクビクしてんのよ
黙って乗ってれば見つからないわよ

…………うぇ……;;;;」


少年の隣に座っていた赤い髪の少女は、青ざめた顔で口元を押さえている


船酔いである


「イ、イリア!?
大丈夫!?」

「あーーもーー!
さっさと港につかないかしら!!」

「イリア、そんな大きい声出したら見つか……」





『この船は当分港に停泊しませんよ』




頭上から声が聞こえた


二人はゆっくりと、本当にゆっくりと声のした方を見る


そこには、木箱の枠に片足を掛け細剣の剣先をこちらに向けている少女がいた


『はじめまして、密航者さん』


にっこり、と言う音がつきそうな笑みを二人に向ける


端から見れば天使のような微笑みだが、今の二人には悪魔の笑顔にしか見えない


「ひッ…!!」

「な……!?」


数秒後、船を揺るがすほどの大絶叫が聞こえた……


+++


「……で、誰なんですか?この人たちは」


と、機関室で船長さんが尋ねる


私の両隣にはリッドくんとカイウスくんに取り押さえられた密航者2名


『密航者です』


笑みを向けながら言うと、船長さんは怒ったように船の説明をはじめる


「よろしいですか?このバンエルティア号はボクのご先祖たるアイフリードから受け継いだ大切な海賊船なんですよ!その船に密航だなry

『船長さんこの人たちどうします?
港に送っていきますか?』

ボクが話してる途中なのに……!
密航者は海に投げて鮫の餌にするのが海賊のやり方ですが……」


あ、 いるんだ鮫、こっちの世界にも


「ああああの!!」


先ほどまでビクビクと震えていた銀髪の少年が声をあげる


「こ、これはっ、僕が彼女を唆したからで!!
かか、彼女に非はないんです!!」

「ルカ……」

「か、彼女だけは!見逃してください!!
お願いします!!!」


ファラ「チャット、どうするの?」

カイウス「こいつら悪人には見えないぜ」

キール「見える見えないの問題じゃないだろ!
これは立派な犯罪だぞ!」


キールくん、私たち海賊名乗ってる時点で犯罪者だと思います


「う……
ナツメさん!
あなたはどう思いますか?!」


船長さんが私に判断を求める



『別に処刑しなくても大丈夫だと思いますよ
犯罪者には見えませんし』


「だからそういう問題じゃ……」


『というかこの人たちが犯罪者なら見つけた時点で串刺しにしてましたよ』


全員の顔が一気に青ざめた気がした

そして何故か一歩後退りされました


リッド「ナツメ……
今目が笑ってなかったぞ……?;;」

ルビア「(でもそんなナツメも可愛い)」


『あ、じゃあこういうのはどうでしょう?
二人とも、この船のメンバーになるのは』


「え……?」


『二人とも、事情がおありなんでしょう?
まぁ最終的な判断は船長さんに任せますが』


「ちなみに、断ったら……?」



『生きたまま挽き肉にして鮫の餌にします(真顔』

「「なります」」



青ざめた表情で即答する二人


『だそうですよ船長さん』

「やりましたね皆さん!
これでまた子分が増えましたよ!」

ファラ「子分じゃなくて仲間でしょ!」

カイウス「や、やったなチャット;;」

リッド「なんか可哀想だなあの二人……;;」

ルビア「よ、よかったわね……;;;」

『これでまたにぎやかになりますね♪』



「「「「(あれ、ナツメって実はちょっと腹黒い?);;;」」」」



今度は何故か一歩どころか数歩後退りされました


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あきゅろす。
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