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The flower of Eden
No.3 何故?なんて疑問は破棄しました

「そういえばナツメ
これ、貴女の?」


そういってファラさんが取り出したのはオレンジの手袋と小さな箱、そしてゴツめの指輪


『(見覚えありすぎる……!!)』


なんでここ(異世界)にあるんだろう、なんて疑問はとうに捨てた


いや、だってさ………

目の前で魔法やらモンスターやらを見せられたら…………ねぇ……?

信じざるを得ませんよホント


イグニスくん、私もう頭パンクしそう


『はい、私の物です
ありがとうございます』


ニッコリと笑って受けとり、あてがわれた部屋へと戻る


+++++


右手におさまる指輪をじっ、とながめる


『とられたと思ってたけど……』


なんでここにあるんだろう
みんなはどうなったんだろう
友人たちは無事なんだろうか


疑問ばかり溢れてくる

我ながら女々しいな、なんて思いながら箱を手に取った


ボッ


指輪に橙の炎が灯った

炎を匣に注ぎ込む


カチッ、


匣が開き、中から出てきたのは金のようなオレンジのような毛並みの仔ライオン

出てきた仔ライオンは不思議そうに2、3度瞬きをする


『ナッツ』

「!」


名前を呼ぶと、嬉しそうな表情をうかべる

おいで、と言わんばかりに手を広げると勢いよく飛び込んできた


「ガウ!!」

『ナッツ、ひさしぶり』


何故かナッツも私と同じように幼い姿になっていたが気にしないことにした


『ごめんね、今まで出してあげなくて
寂しかったよね』


ナッツは私の相棒

でも、ミルフィオーレと戦うとき、私は1度もナッツを出さなかった

「あの世界の私」では白蘭に勝てないと、自分の中の血が告げていたからだ

結果私は負け、多くの犠牲を生み出した


別の平行世界の私が勝つと信じて、私は希望を賭けてみた


『ごめん……ごめんね、』


声が震える


『わたしの、せいだよね…………
みんなが傷ついたのも、みんなを失ったのも……』


ナッツを抱きしめる腕に力がこもった


『ごめん、ね、』


いつの間にか零れた片方だけの涙


苦しいよ、悲しいよ


私は、声を押し殺して泣いた


罪悪感から目を反らすために


ごめんねって、何回言ったかな

届かないって分かってるのにね



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あきゅろす。
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