[前]雲色の願い
夏
「…暑そうだな」
季節は過ぎ、夏になった。
新入生はそろそろ学校に慣れてきたみたいだった。
僕の事もわかってきたみたいで
あまり風紀を乱さなくなった。
…良い事だ。
なんとしても
゙彼゙の愛した、そして…僕が愛したこの街を
守らなくては、ならないからね。
「ふあぁ…」
応接室はクーラーがかかっているので、外よりは暑くない。
だが、涼しくし過ぎるのは良くないので
涼しいが、暑過ぎないように…を保っていた。
その中にいると
睡魔が襲ってくる───
───「恭樺?」
僕の頬にひんやりとした感覚がした。
ゆっくりと瞳を開けば、見慣れた顔…
「…きょ、ゃ…君…?」
自分と瓜二つの顔。
白い肌、黒髪がさらさらと揺れ
…綺麗な瞳が、僕をうつしていた。
「こんなトコで寝て…」
「…ごめんなさい…今、何時…?」
「7時。…もう帰るよ」
ひんやりとした感覚が離れた。
ひんやりとしたのは、恭弥君の手が僕の頬に触れていたからか。
恭弥君はスッと僕の荷物を持って、扉を開けた。
(僕の従兄弟は)
(雲雀、恭弥)
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