[前]雲色の願い 3 …まぁ、良いや。 「…二人共」 「はい」 「はーい!」 「仕事、始めなよ」 そう言えば二人はすぐに仕事に取りかかった。 …風紀委員会には、優秀な奴が あまりいない。 喧嘩は強くても、デスクワークみたいな仕事が出来るのは 僕と那穂だけだ。 はぁ… 今度、叩き込もうかな…PCの使い方。 ───書類整理をしていて ふと、外が気になったので窓の外を見てみた。 今気づいたが、もう空の色は茜色だった。 玄関の方を見れば、人が沢山群れていた。 その中に、彼がいた。 名前は 沢田 綱吉。 1-A、新入生。 そして… 「物語の…主人公…」 始まりの、彼。 始まりは 彼からだ。 僕はゆっくり窓に近づき、触れた。 そして、呟いた。 始まってしまうのか …と。 じっと彼を見つめていたら、彼がこちらを見た。 …一瞬、目があった気もする。 僕は窓から離れ、椅子に座り 書類に向かった。 (…彼は) (いつ、会いに来るのだろうね) [*前へ][次へ#] [戻る] |