[前]雲色の願い 雨 今日は、雨。 傘も出さず、街を歩く。 今日は、なんかそう言う気分。 雨に濡れてぐっしょり濡れた髪と服。 張り付いてくるけど、不思議と気にはならなかった。 * 「…コホッ…」 「なぁに恭ちゃん、風邪?」 「…別に」 「答えになってないよきょーちゃん」 …そう言われても、僕は別になんともないし… 他に返す言葉もない。 「あの…委員長…」 「何、副委員長」 ここ…間違ってます と草壁が書類を出す。 それも、何束も。 「ありゃ?恭がこんなに間違うなんて珍しいね。疲れてんの? 休んだ方が良いよ〜」 「青葉の言う通りです委員長。今日は休まれてはどうでしょう」 僕が断固として机から離れなければ、那穂がぺいっと僕を応接室から出した。 「休まなきゃ入れてやんないかんね!!」 「……」 僕、委員長なんだけど…… まあ、那穂は頑固だから本当に入れないだろう。 (確かになんかダルい…) (ここは、帰ろう…) [次へ#] [戻る] |