[前]雲色の願い
棒倒し
手を伸ばしても
擦り抜ける、蝶。
ふと、頭に歌詞が浮かんだ。
それば私゙の好きな曲。切なくて、悲しい、綺麗な曲。
「鳥、は憧れ、た…籠の外の……世界を…?」
ツナの耳に届いたのは、紛れも無い彼女の声。
小さな口から聞こえた綺麗な声。
その曲に耳を傾けていると、棒がぐらぁっと倒れた。
「…!」
それに気付いた二人。
恭樺は、二つの選択肢に迷った。
一つ。
原作通りに進む。
二つ。
自分の考えに従う。
「僕は…」
…後者を、選ぶ。
トッと棒から降りる。
…辺りはただ呆然と恭樺を見た。
当たり前だ。大将が地面に足を付いたら負けなのだから。
「ぉっおい!どういうつもりだよヒバリ!」
「どういうつもりって…
こういうつもりだけど。文句ある?」
文句を言う奴等を見てから、僕は歩き出した。
後で那穂になんであんな事をしたのか問われたが、僕はその問いに答えなかった。
(僕は)
(自由気儘に生きる)
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