[前]雲色の願い
3
「おお!ヒバリも出るのか?棒倒しに」
「…笹川了平。君は僕を怒らせたいのかい?」
棒倒しは男子限定競技。
生憎、僕はこれでも女でね。女の僕じゃ出られないんだ。
「お前なら男の中に居ても平気だろう」
「…それ、どういう意味?」
…よし。
「ねぇ、君」
「はっはい!!」
僕はさっきの実行委員に声をかけた。
何を言う為かって?
決まってるじゃない。
「棒倒し、僕も参加するよ」
*
「…なんで?」
目の前の棒の上にいるのは
たぶん、男ではないであろう
彼女がいた。
あれ?これって棒倒しだよね?
なんで女子がいんの!?
もう一度、彼女に目を向ける。
彼女はこちらなど気にする事をせず
ただただ、空を見上げていた。
彼女の黒髪が
風のふく度揺れていて
凄く、綺麗だった。
「…青、空」
空を見ていたら、視界の隅に何かが写った。
(ソレは)
(紫の、蝶)
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