[前]夜空舞う、銀の蝶
8
「蝶ちゃん、うちに来なさい」
…さっきの大人達とは違う、
本物の笑顔。
信用して、良い。
なんとなく、思った。
目の前にいる人の言ってる事を断ったって…きっと、断りきれない。
「安心して」
「……食事と、睡眠時だけで…良いで「ダメよ」………はい」
(奈々さん…)
こんなキャラだったっけ…、
と考えていたら
ゆっくり、優しく…奈々さんが抱き締めてくれた。
お母さんみたい…温かい…
ポンポンと規則的なリズムで背中を擦ってくれた。
(…安心、できる)
───「あら?」
お母さんの腕の中には、ぐっすりと眠っている…えーと…蝶ちゃんの姿。
寝ている事に気付いたお母さんは
きっと泣き疲れたのね、
と言葉を零していた。
「ツー君、家に帰りましょう」
「うん!」
蝶ちゃんを背負ったお母さんと手を繋いで、家へと向かった。
(せめて夢は)
(幸せなものでありますように)
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