[前]夜空舞う、銀の蝶 出会い 私が君に出会ったのは 雨の激しい、夜だった。 真っ黒な私を、真っ白な君が 抱き締めて、こう言ったよね― ザアァァァ… 「あの娘、誰が引き取るの?」 「私は嫌よ」 「でも、遺産はあの娘が相続するんでしょう?」 …くだらない。 聞こえてくるのは、くだらない大人の声。 (…お母さん、ごめんなさい…) そっと触れた、母の遺影。 笑顔のお母さん、素敵だった。 こんなくだらない大人達と違って、 大空の様な人だった。 私の…誇りだった。 「蝶ちゃん、身寄りはあるの?」 不意に聞こえた声。 …知ってるくせに。 首を横に振れば、 私の家に来なさい、いや私の家に来なさいよ、 と、言ってくるんだ。 「母の遺産目当て…ですか?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |