[前]夜空舞う、銀の蝶
3
ゆっくりと小さな体を抱き締める。
「あらあら…そんなに顔をぐちゃぐちゃに濡らしたら、可愛い顔が台無しよ悠嘉。昨日の今日でそんなに涙流してたら、これから大変よ?」
「普通ッ親、死んだら泣…っくよ!!!」
華蝶―いや…華蓮―の天然ボケに悠嘉の鋭いツッコミが入る。
「しか、も…昨日、の今、日…じゃない…!
8年…8年もっ…耐えたんだ!!!」
「8年…?」
華蓮はゆっくりを頭を撫でながら首を傾げた。
けれどすぐにあぁ…と呟いた。
「そっか…貴女は8年後から来たのね?」
「…8年後?」
コクンと小さく頷けば、男の人は驚いた。
「10年バズーカは聞いた事があるが、8年前に行けるモノがあるなんて知らないぞ?」
「確かにね…でも、たぶんジャンニーイチの倅が何かやらかしたんでしょう」
ふふっと小さく笑う。
そんな母を見て、悠嘉はぎゅっと抱き締める。
この温もりは夢じゃない。いつもの母だ。
そう感じて。
「お前は良いなぁ…悠嘉に好かれて」
「だって母親ですもの」
(俺だってなぁ)
(ちょ…っと待って…)
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