[前]夜空舞う、銀の蝶
4
茶色の髪、同じ色の瞳。少し、幼いけど…
間違いない。
(…沢田…綱吉…)
「雨にぬれると、風邪ひくよ?」
…黒い影は、傘か。
いきなり現れたから、びっくりしたよ。
「どーしたの?」
「…っえ…?あ…」
さっきから黙り込んでたから心配してくれたみたいだ…
甘い、な…本当…
漫画で見た通りだ。
「大丈夫だよ」
優しく返した…つもり。
少なくとも、見た目には出ていない筈。
笑顔で返したもの。
それでも、気付かれたのは…
彼の持つ、“超直感”のおかげか?
それとも…
─「ないてるの?」
「え…」
(涙…出たのかな?)
目を擦ってみる。
(濡れてない…)
濡れてても、雨のせいだ。
「泣いてないよ」
笑顔で返すと、少し困った様な顔をする。
「えーとね、ここが…泣いてる気がするんだぁ」
綱吉が手を置いた場所は…
(…胸?)
(ココロが…泣いてる…)
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