[携帯モード] [URL送信]

[前]夜空舞う、銀の蝶
オモイ



────温かい……



手から、体から。

じんわりと伝わってくる。




重い瞼をゆっくりと上げる。

目の前には、黒。



「…だぁ…れ……」


空いている指先で何かに触れる。


あぁ…先輩だ……



指先を少しずつ動かして頬に触れた。


ずっと、抱き締めてくれたんですか…?

肩には先輩の学ランがかかっていた。
夏って言っても、ここは夜になると冷える。


先輩、風邪ひかないで下さいね……


そう思い、体を寄せた。



ガシッ。




「……?」


頬に触れていた手が掴まれた。先輩の手で。


「先、輩……」


なんだか、先輩を見てホッとした。

少し口元を綻ばせる。


「──君はいつも」


…?


「いつも、人の理性をすぐ壊す」



上手だよね、そういうの。



──気付いたら先輩の顔が目の前にあって。
目が合うと、心音が早くなる。


重なった唇から伝わる熱で、少し体が震えた。


「ん…っ……く……」




なんで。







(なんで)

(こんなに愛しいのだろう)

[*前へ][次へ#]

10/12ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!