[前]夜空舞う、銀の蝶
2
゙眠りな゙
先輩の言葉に目を閉じた。
抱き締められて先輩に近くなったからか、規則的な音が聴覚を支配した。
────眠るって、少し怖いんだ。
起きたら、いつもの風景が広がっていれば良いけど。
もし、違う風景が広がっていたら。
そう思うと、少し怖い。
もしかしたら、その風景すら見れないまま終わるかもしれない。
ズクン、ズクン、と痛む頭を先輩が優しく撫でてくれる。
絡まる指先に力が入る。
痛みを耐え心音を聞く。
少し、早い音。でも何故か安心出来た。
今なら────…
と私はその音に身を委ねた…
────「…」
呻き声が、寝息に変わった。
寝息の合間に小さく声が漏れる。
抱き締めたまま寝るのは苦しいか…?
と考え、片膝を立て背もたれにし、頭を自分の首元に押し付けるような体勢にした。
ゆっくり顔を覗き込む。悠嘉は苦しそうに顔を歪めていたが、先程より明るくなった。
(…昔、君に何があったんだい?)
(さらり、髪を撫でた)
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