[前]夜空舞う、銀の蝶
母
「よくお母さんが教えてくれたんです」
「へぇ…」
広い庭を眺めながら縁側で足をぶらぶらさせていると、お母さんはよく隣に座って星について教えてくれました。
それと同時に、歌を聞かせてくれました。
「歌?」
「はい。お母さんの声、とても綺麗で…いつも聞いてると、安らいだ゙気がしまず
なのに、お母さん歌ってる時、凄く…」
────あれ
「凄、く…」
────あれ、あれ?
「す、ご……」
────お母さん、
「…悠嘉?」
どんな顔、してたっけ。どんな歌、だったっけ。
────────!!!
「あ゙っ…ぐ…っ…」
「悠嘉?」
痛い。
痛いよ…
とてつもない痛みが、蝶の頭を襲う。
痛みは弱まる事なく、強くなっていっている。
痛みをどうする事も出来ずに、頭を押さえ、蹲るしかなかった。
雲雀の手が、ゆっくり蝶の手を包んだ。
痛みが酷くて、雲雀の手を強く握り締める。
雲雀は痛みに少し眉を寄せたが、そのまま蝶を自分に引き寄せた。
(…悠嘉)
(眠りな。辛いなら)
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