[前]夜空舞う、銀の蝶 3 ──「そんな所に居たんですか」 「…悠嘉」 こっちにおいで、と動物を呼ぶように手招きをする先輩。 皆には言わなかったが、先輩も呼んでいたのだ。 だって、こんなに綺麗な空 見れないなんて勿体ないもの。 失礼します、と先輩の横に腰掛ける。 神社から少し離れた森。凄く静かで、見晴らしが良く、星がよく見えた。 「あ、先輩。あれ、デネブじゃないですか?」 「…夏の大三角形のあれかい?」 「はい! あれが、デネブ、アルタイルにベガ」 ほら!と悠嘉が指差す。 そこには天の川が広がっていた。 「晴れて、良かったね」 ぽつり、と悠嘉が呟いた。 「先輩、知ってます? 織り姫と彦星って天の川がなくても、ちゃんと会ってるんですよ?」 「あれは天の川が出た七夕だけ…そう言う約束じゃなかった?」 不思議そうにこちらを見る先輩に笑いかける。 「雨が降って天の川を渡れない時は、カササギって言う鳥が飛んで来て、織り姫と彦星を会わせてくれるらしいです」 (ふーん…) (なんでそんなに詳しいんだい?) [*前へ][次へ#] [戻る] |