[前]夜空舞う、銀の蝶
別れと、それから
────…
あぁ…あれ、光かな…
眩しい………
…────
「ゴホッ!!」
ゴホゴホと咳込む。
海に溺れた後みたいだ。
酸素がいきなり入ってきた感じで、なんだか気分が悪くなった。
自分の姿が戻ったか見ようと手を上げようとしたら、
手を包む温もりに気づく。
起き上がり酸素マスクを外し、手の温もりの正体を見る。
「……ツナ…?」
寝息を立てている少年の柔らかな髪を撫でる。
そのせいか、ん…、と声をあげ少年の瞼が上がった。
「おはよう、ツナ」
「…あ、げは……蝶!!」
ツナは蝶の姿を見て、手を伸ばしキツく抱き締めた。
もう離さない、そう言うように。
「ツ、ツナ…苦し…っ」
「ご、ごめん…」
ふっと力を緩めるも、離そうとはしない。
「もう、少し」
このままが良い。
蝶はくすりと笑みを零し、ツナの背中に手を添えた。
(温かい)
(生きている)
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