[前]夜空舞う、銀の蝶
4
゙凪、ごめんね゙
最初。私はなんで悠嘉が謝ってるのか、わからなかった。
でもその表情は、お父さんと似ていた。
────…悠嘉も、私を置いて行っちゃうの?
いやいや、と首を横に振る。
悠嘉を困らせたくない。
でも、やっと出来た友達を、失いたくない。
悠嘉はゆっくりと私の頭を撫でてくれる。
ポロポロと頬を涙が伝い落ちた。
悠嘉は上体を起こし、私を抱き締めた。
その服を掴み、行かないで、と懇願する。
その手をしっかりと握る、温かい手。
蝶は凪の耳元で囁いた。
「大丈夫。凪は、一人じゃないよ」
「…へ」
まるで、見透かされたようだった。
「今は一人かもしれない。でも、きっと貴女の前には貴女を必要としてくれる大切な人達が現れる。だから…」
安心して。
悲しまないで。
少女は小さく頷いた。
「その為に、痛いのも耐えられる?
その為に、怖いのも耐えられる?
その為に」
強く、なれる?
(少女は)
(力強く頷いた)
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