[前]夜空舞う、銀の蝶
ゼンセ
振り返る。
瞳で、見据える。
立っているのは、小さな少女。
少女と言っても、今の私より年上の子。
少女から、血が絶えず流れ続けていた。
その少女は、私を見ると、薄く笑みを浮かべた。
「…てくれた」
「え…」
「やっと…
───やっと、見てくれた」
少女はスッと手を伸ばす。
それは、私には恐怖にしか感じられなくて。
でも────…
────知ってる。
なんだか、懐かしくて…
ツ…と指先が頬を撫でる。
その指先から、色々なモノが流れ込んでくる気がした。
────そうか。
少女は、気付いた。
────コレは…この娘は…
少女は、思い出した。
────…私だったんだ。
(私が)
(私を嫌ってた頃の私)
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