[前]夜空舞う、銀の蝶
6
「悪ぃ…本当に悪かった…」
腕に力を込める。
…いつも、蝶の事になると周りに目がいかなくなる悪い癖。
自覚はあるが、治らない。
………好きな奴ぐらい、守りてぇのによ。
「隼人君…苦しいよ……」
知らぬうちに腕の力を強くしてしまっていたらしい。
………でも、
「もう…少しだけ」
このままで、いさせてくれ…
うん…と背中を撫でる蝶の手は、温かい。
腕の中にいる。確かな温もり。
心音が、激しくなった。
どうかこの音が
聞こえてませんように…───
*
『お客様にお知らせします
さきほどの爆発により檻が半壊し ライオンが逃げ出しました
大変危険です。すみやかに園外へ避難してください』
「ヤバいねー」
「何がだよ」
「今日、ツナが来てるよたぶん」
「な!?10代目が!!?」
行くぞ、と血相を変えて手を引っ張っていく獄寺の背中を見ながら、蝶は考えていた。
(誰のせいだよ、誰の)
(前を走る爆弾少年が知る事のない)
(真実)
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