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[前]夜空舞う、銀の蝶
6



「悪ぃ…本当に悪かった…」


腕に力を込める。


…いつも、蝶の事になると周りに目がいかなくなる悪い癖。
自覚はあるが、治らない。


………好きな奴ぐらい、守りてぇのによ。


「隼人君…苦しいよ……」


知らぬうちに腕の力を強くしてしまっていたらしい。


………でも、



「もう…少しだけ」


このままで、いさせてくれ…



うん…と背中を撫でる蝶の手は、温かい。
腕の中にいる。確かな温もり。



心音が、激しくなった。


どうかこの音が


聞こえてませんように…───






『お客様にお知らせします
さきほどの爆発により檻が半壊し ライオンが逃げ出しました
大変危険です。すみやかに園外へ避難してください』


「ヤバいねー」

「何がだよ」

「今日、ツナが来てるよたぶん」

「な!?10代目が!!?」

行くぞ、と血相を変えて手を引っ張っていく獄寺の背中を見ながら、蝶は考えていた。


(誰のせいだよ、誰の)







(前を走る爆弾少年が知る事のない)

(真実)

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