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[前]夜空舞う、銀の蝶
3



「乗馬できるって!行こう!!」

「おい!ちょっ…!」






………なんだ、この状況。


まず、混んでいて馬が一頭しかあいてない。
二つ目、蝶は一緒で良いと言い出した。
三つ目は、

俺に有無は言わせてもらえない。


「隼人君!楽しいね!」

「あ、あぁ…」


目の前、すぐに手が届く距離に

蝶がいる。


蝶が話しかけるが、それどころじゃない。


目の前で揺れる黒髪から香る、自然の香り。
花、いや、花より良い香りだ。表せない、香りがした。


そっと、髪に触れる。



「………隼人君?」


ハッと我に返る。

蝶が目と鼻の先にいた。


バッと離れて、気付く。



…ここ、馬の上じゃねーか………




バッタ──ン!!!


「は、隼人君!!!」

「お客様!?」






「………」

「あ、気が付いた」

「…ここは…」

「まだ動物園だよ。隼人君、いきなり倒れるから驚いちゃった」


俺は馬から落ちたのか……







(かっこわりぃな)

(俺…)

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