[前]夜空舞う、銀の蝶
3
「乗馬できるって!行こう!!」
「おい!ちょっ…!」
*
………なんだ、この状況。
まず、混んでいて馬が一頭しかあいてない。
二つ目、蝶は一緒で良いと言い出した。
三つ目は、
俺に有無は言わせてもらえない。
「隼人君!楽しいね!」
「あ、あぁ…」
目の前、すぐに手が届く距離に
蝶がいる。
蝶が話しかけるが、それどころじゃない。
目の前で揺れる黒髪から香る、自然の香り。
花、いや、花より良い香りだ。表せない、香りがした。
そっと、髪に触れる。
「………隼人君?」
ハッと我に返る。
蝶が目と鼻の先にいた。
バッと離れて、気付く。
…ここ、馬の上じゃねーか………
バッタ──ン!!!
「は、隼人君!!!」
「お客様!?」
*
「………」
「あ、気が付いた」
「…ここは…」
「まだ動物園だよ。隼人君、いきなり倒れるから驚いちゃった」
俺は馬から落ちたのか……
(かっこわりぃな)
(俺…)
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