[前]夜空舞う、銀の蝶
8
ゆっくり、蝶の髪に触れる。
それから頬を包んだ。
たまらなくなって、
唇を、重ねてしまった。
「…っん…」
少し離して、また重ねる。
それを何度も繰り返した。
おかしい、よな。俺は京子ちゃんが好きな筈なのに…
…蝶に、ドキドキしてる。
重ねて、離れて、また重ねて。
それを繰り返してる時、ぎゅっ…と手に力が込もる。
眠りが深いのか、蝶は目覚めていなかったが、苦しかったみたいで無意識に手に力を込めたらしい。
それによって、現実に引き戻された。
「…っ、ハァ…」
…ごめん、蝶。
*
手も離してくれないし、ここに置いて行くわけにもいかない。
と言う事で、蝶を背中に背負った。
背中に感じる蝶の体温に、またおかしくなってしまいそうになった。
家路について、母さんに蝶の事を頼んで、俺はそのまま眠ってしまった。
布団の中で、そっと唇に触れた。
(触れたい)
(もう、一度)
100414
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!