[前]夜空舞う、銀の蝶
9
「悠嘉、顔見せて」
「…っイヤ、です…」
そう言えば、身体が温もりに包まれた。
「先輩…離してっ…」
「イヤだ」
イヤだ、の一点張り。
腕の力は強くなるだけ。
でも、顔だけは
見せたくない。
「…悠嘉」
「ゃ…です…」
ハァ、と溜め息が聞こえて
ぐるんと、反転したように感じた。
驚いたが、状況を確認するには手を外さなきゃいけない。
………嫌、ムリ。
そう思ったが、先輩が私の腕を掴んで
離させた。
「やっ…」
「………」
先輩に、見られた。
真っ赤な、顔。
恥ずかしくてたまらない。
スッと顔を逸す。
でも、ダメだった。
先輩は私の顎を掴み、上を向かせた。
そして、
「…ん…ッ…」
唇が触れた。
啄むような、キス。
唇が離れて
最初に言われたのは
これがキスだよ
でした。
(ご馳走様)
(美味しかったよ、悠嘉)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!