[前]夜空舞う、銀の蝶
8
「…あの、マジで?」
「マジで」
「本当に?」
「本当に」
「………絶対?」
「絶対」
早くしなよ、目瞑ってあげるから
と先輩は言った(てかアンタがやらせてるんだろ)。
どうにも先輩の意志は固いらしい。
しょーがないから、膝から降りさせてもらい先輩の方に体を向ける。
「…先輩
本当に目、瞑ってて下さいね…」
「…わかってるよ」
ゆっくりと先輩の距離を縮める。
目を開けてなんて絶対に無理、恥ずかしいので閉じる。
感じるのは、先輩の息。
チュ、と軽いリップ音がした。
唇に、触れた。
すぐに離れて先輩を見る。
「………」
ムッスーってして………
…………あれ?
「先輩」
「何」
「目…閉じてました、よね…」
「…開けてた」
………!!!!!
衝撃の事実、発覚。
先輩は目を開けていたのだ。
恥ずかしくなって、熱が集まった顔を手で覆う。
恥ずかしくて、
心臓が、五月蠅い。
(どうしようもない)
(気持ちが生まれる)
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