[前]夜空舞う、銀の蝶
2
「お前、確か…」
「なんだい、タケシの知り合いかい?」
(山本武…)
今は同じクラスの人気者の野球少年だ。
中学生からは…
そうはいかなくなる。
「おう!オレと同じクラスで、夜空…」
「…蝶」
「そう、蝶だ!」
ニコニコ笑う山本君は、野球のユニホームを着ていて
所々汚れている。
野球をしてきたんだ…
…彼から野球を取って良いのか、ツナは悩むだろうな…
「タケシと同じクラス…って!嬢ちゃん、小3なのかい!?」
「はあ…」
(気付いてなかったの!!?)
「そんな娘がどうして…」
「今、私は沢山の人にお世話になっています。けど、未だに恩返しが出来ません…だから、恩返しがしたいのです…!」
剛さんと山本君がじっとこっちを見てくる。
長い沈黙の後、口を開いたのは…
山本君。
「なーオヤジ」
「なんだ、タケシ」
「蝶の願い、叶えてやんね?」
「!」
可愛く首を傾げる山本君。
…中学生になったら、可愛いがカッコいいになるんだろうな…
ちょっとショック。
「……しゃーねーな。店の前で土下座されたままじゃ客も入らねぇし…但し、おじちゃんは優しくねーぜ、蝶ちゃん」
「…〜っ!はい!宜しくお願いします!」
剛さんは笑って、明日から来な、と言った。
そうだ、山本君にお礼言わないと!
「山本君!ありがとう!」
(…笑えてるかな)
山本君が少し固まったように見えたから、なんか心配になる。
「ぉっ、おう!
なぁ、蝶…」
「何?」
「名前で、読んでくんね?」
「…名前、武君?」
「!おう!じゃあまたな、蝶」
「うん!」
───私は描かれた物語通りに進む。
私は…守る、皆を。
この…
世界を。
(願うは)
(幸せな未来)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!