[前]夜空舞う、銀の蝶
5
「九代目!これはっ…」
「この娘の力は、強過ぎる」
「?」
九代目の言葉の意味が良く分からず、首を傾げる家光。
…小さな少女にそんな力があるとは考えられないのだ。
確かに、蝶には他の子と違うオーラがある、だが…やはり子供だ。そんな事、あるわけがない。
「家光」
「はっ、はい!なんでしょう?」
いきなり九代目に名前を呼ばれてびっくりした家光。
九代目は深刻な顔をしていた。
いつもの優しい笑みは…消えている。
「この娘の母が、死んだ事は…
知ってるね?」
「はい」
蝶の母が奈々の友人で、その娘が蝶だ。
蝶の母が死んで、子供一人は危ないから、と家に呼んだのだ。…知っていて当然だ。
…家光は本当の娘が出来たようで、嬉しかったのだ。
「蝶の母が死んだ日、夜蝶組の組員から連絡を受け、夜蝶組に暗殺部隊ヴァリアーを向かわせた」
「はい」
「ヴァリアーが夜蝶組に到着した時、血の海に一人、立っていたのが…
…蝶なんだよ」
「!?」
(小さな少女に)
(何が、あったんだ)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!