[前]夜空舞う、銀の蝶 食い逃げ 「お!蝶じゃねーか」 「あ、武君」 町内をぶらぶら歩いていると 武君に会った。 格好からして たぶん野球をして来たんだと思う。 (…野球…夢……) …壊しちゃいけないのはわかってる。 でも、彼がいなくちゃダメ。 一人でも欠ければ その未来は消えてしまうのだから。 「ん?どうした?」 「ううん、なんでもないよ」 心配そうに顔を覗き込んでくるからに笑顔を見せる。 彼はそれを見てか、家[ウチ]に来るか?といつもの笑顔で言った。 今日はバイトじゃないが暇だし… 邪魔にならない?と聞けば、全然、と答えてくれたので 行く事にした。 * 「ただいま ? どーしたオヤジ?」 先にお店に入った武君は何かを見たみたいだった(武君の身長が高くて前が見えない)。 剛さんの、食い逃げだよ、と言う声と共に 私の良く知る声が聞こえてきた。 「ツナじゃねーか」 「へっ…ツナ?」 「山本ォ!それに蝶!?」 私が武君の後ろから顔を出せば 驚いてるツナの顔が見えた。 (ツナ) (何してんの?) [次へ#] [戻る] |