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遊戯王GX  −Selfish−
第3話 光と闇 B


「僕のターン、ドローです」



 ッ!!? なんだ!? まだドローしただけだぞ!? それだけで全身に電流が流れる感じがしたぜ。



「僕はカイムを攻撃表示で召喚」



 カイム(攻撃力0)



 永遠の場に頭が二つあるカラスが現れる。

 攻撃力0のモンスターを攻撃表示だと? 何か効果があるのか? しかも見た事のないモンスターだ。

 別に俺は全てのカードを知っているなんて自惚れは無いが、それでも大抵のカードは見た事がある。

 だが、永遠の出したモンスターは俺の今まで見てきたモンスターと質が違う気がするぜ。



「さらに速攻魔法、闇を受け継ぐ者を発動します」



 また知らないカードだ。だが、こちらはまだ名前でなんとなく効果の予想がたつ。



「デッキからレベル5以上の闇属性モンスターを除外し、場のレベル4以下のモンスター1体の攻撃力を除外したモンスターの、元々の攻撃力分エンドフェイズ時までアップさせます。

 僕が除外するカードは、大罪の悪魔 怠惰のベルフェゴール。勿論攻撃力が上がるモンスターはカイムです」



 カイム(攻撃力0→2800)



 いきなり攻撃力2800になったな。だが、デッキから強力モンスターが消えた分でチャラだと思っておこう。



「さらに除外した大罪の悪魔 怠惰のベルフェゴールの効果発動です」

「何!?」

「大罪の悪魔と名の付いたカードは、手札・デッキから墓地に送られた時、または手札・デッキ・墓地から除外された時に自分の場に特殊召喚します」



 大罪の悪魔 怠惰のベルフェゴール(攻撃力2800)



「さらにベルフェゴールをこの効果で特殊召喚した場合、自分のデッキの上からカードを4枚墓地に送ります」

「場に攻撃力2800が2体だと!?」



 永遠の場に、新たに黒い熊の仮面を着けた黒い巨漢が現れる。

 やばい、シャレにならん! いくらデッキから墓地に送られても、割に合わん!

 ……デッキから墓地へ……まさか!?



「その顔、気づきましたか。貴方が予想した通り、この効果で送られた場合も大罪の悪魔は特殊召喚されます。勿論その後またデッキのカードは墓地に送られます」

「くっ……」



 つまり最大1ターン中にベルフェゴールがあと2枚出ると? ふざけんな!!

 デッキから墓地に送られるが、何も出てこない。送られた中には居なかったみたいだな。



「さらに、ベルフェゴールの効果を発動します。

 手札を2枚捨て、このターン貴方の場のカード全ての効果を無効にします。」

「何だと!!」

「さらに今墓地に送られた、大罪の悪魔 色欲のアスモデゥスの効果を発動します」

「くっ!?」

「場に攻撃表示で特殊召喚します」



 大罪の悪魔 色欲のアスモデゥス(攻撃力2200)



「アスモデゥスをこの効果で特殊召喚した場合、自分のデッキから上からカードを1枚墓地に送ります」



 更に現れるモンスター。今度は黒い羊の面を着けた黒いドレスの女。

 こんな状況じゃなきゃ、その姿をマジマジと見てるだろうが、そんな余裕無い。

 やばい……大罪の悪魔……最初に感じた以上に厄介だ。

 そして今更だが、大罪の悪魔と名の付いたカード、おそらく7種類居る。



「大罪の悪魔、聞き覚えの無いカードだが……名前からして7種類居るのか?」

「えぇ。色欲,暴食,強欲,怠惰,憤怒,嫉妬,そして傲慢の7体ですよ。

 安心してください。僕のデッキ、今のところ同じカードは入っていませんから」



 最悪だな。こんな奴等が、まだ後5体も居るのかよ。



「まだ僕のメインフェイズは終わっていませんよ?

 アスモデゥスの効果を発動します。

 手札を1枚捨て、相手フィールド上のモンスター2体まで選び、表示形式を変更します。

 勿論、対象はライトロード・ドルイド オルクスです」



 ライトロード・ドルイド オルクス(守備力1800→攻撃力1200)



 もう驚く余裕すら無いな。

 本来オルクスが場に居ればライトロードは効果の対象にならないんだが、それもベルフェゴールの効果で無効にされてしまった。マジで隙が無い。

 まぁ、幸いにも捨てたカードは大罪の悪魔じゃないみたいだな。それだけが唯一の救いか。



「バトルです。アスモデゥスで、ライトロード・ドルイド オルクスに攻撃です」

「墓地のシールド・ウォーリアーの効果を発動!

 ダメージ計算時、墓地のこのカードを除外する事で、俺のモンスターの破壊を防ぐ!」



 アスモデゥスの放つ黒い波動に、オルクスは耐える。



「それでもダメージは通りますよ」



(司 LP5000→4000)


 その通りだ。だがこれでダメージを大きく減らす事が出来る。



「続いてベルフェゴールで攻撃です」



 シールド・ウォーリアーの効果は1度きり。

 オルクスはアスモデゥスの振り下ろした腕に潰され破壊された。


(司 LP4000→2400)



「シールド・ウォーリアーもあまり意味が無かったですね。これで最後です。

 カイムでプレイヤーにダイレクトアタックです」



 一度高く飛んだカイムが俺に向かって急下降してくる。



「そんなこと無いぜ?

 墓地のネクロ・ガードナーの効果を発動!

 このカードを除外する事で、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!!」



 カイムの攻撃が俺に当たる直前に、ネクロ・ガードナーが身を挺して俺を守る。

 ありがとうよ。

 ん? 永遠の様子が変だぞ?



「……ハハ」

「どうした?」

「ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

「なっ!?」



 なんだ? どうしたんだ?

 永遠がいきなり笑い始めたと思ったら、流れが一気に強くなりやがった。元から永遠の流れ、それもかなりの激流だったのが、今じゃ荒れ狂ってやがる。



「久しぶりですよ! このデッキを使って1ターンで沈まなかった人は! ここに来た甲斐がありました! なんという行幸!」

「はっ、俺位のデュエリストなんざ、世界にはゴロゴロしてるさ」



 いきなりテンション,そして強さが変わった。これが本当の永遠の姿なのか?



「いやいや、誇って良いですよ。君はそこら辺の無能なプロデュエリストなんかよりも、間違いなく強い。

 僕はヨーロッパでプロアマ問わず、数百人のデュエリストと戦って来ましたが、1ターンキルを防いだ人なんて2人しかいませんでした。

 君で3人目だ」



 あの炭火状態でこの強さなら、一体今の状態ならどんな強さなんだ?

 間違い無く今の永遠は燃え滾ってるぜ。つまんねぇ戦い方をしたらこっちが一瞬で吹っ飛んじまう。



「因みに、その1ターンキルを防いだ二人はお前に勝ったのか?」

「……あぁ、1人は勝ちましたよ。もう1人は2ターン目で僕が勝ちました」



 片方は今の状態のコイツに勝ったのかよ……どんな奴だよ。



「勝った方の名前は貴方も知ってますよ。むしろ、この学園に知らない人なんている訳がありません」

「そんな有名人とデュエルしたのかよ?」

「あぁ! 相手はあのキング・オブ・デュエリスト! 武藤 遊戯です!!」

「なっ……」



 もう驚かないつもりで居た。

 せいぜいヨーロッパチャンプや、そこらのプロだと思っていたが、永遠が言った名前は俺にものすごい衝撃を与えた。



「あの人と……デュエルしたのか?」

「したさ! 流石はキング・オブ・デュエリスト! 大罪の悪魔を全て出しても勝てなかった! あんな衝撃的な事は、早々ありません!」



 あったりまえだ! あの人は全てのデュエリストの頂点。俺の憧れにして目標だぜ!



「なるほど、やる気が出たぜ」

「そうか! じゃぁ、君の全てを見せて下さい!

 エンドフェイズ時に、闇を受け継ぐ者の効果が終わり、カイムの攻撃力は元に戻ります」



 カイム(攻撃力2800→0)



「ターンエンドだよ!」



 言われなくても見せてやるぜ!

 こっからは後の事なんざ考えねぇ! いくら永遠が激流級の流れを作り出しても、それを乗り越えてやる!

 一気に行くぜ!!



「俺のターン! ドロー!

 魔法カード、おろかな埋葬を発動!

 デッキからモンスターを1枚選び墓地へ送る。俺が選ぶカードは、ライトロード・ビースト ウォルフだ!

 そしてウォルフの効果を発動!

 このカードがデッキから墓地に送られた時、自分フィールド上に特殊召喚する!

 来いッ! ウォルフ!!」



 ライトロード・ビースト ウォルフ(攻撃力2100)


 俺の場に武装したワーウルフ、ウォルフが現れる。まだまだ行くぜ!



「そしてウォルフを生贄にし、ライトロード・エンジェル ケルビムを召喚する!」



 ライトロード・エンジェル ケルビム(攻撃力2300)


 俺の場に現れる天使。今の俺には勝利の女神に見えるぜ。



「この状況で生贄召喚したんだ。ただの攻撃力2300じゃないんだろ?」

「あったりまえだぜ! ケルビムの効果発動!

 ライトロードと名の付くカードを生贄にして召喚に成功した時、デッキの上から4枚墓地に送る事で、相手フィールド上のカードを2枚まで破壊する!!」

 俺が選ぶのは、アスモデゥスとベルフェゴールだ!

 行け、ケルビム! シャイニング・バースト!!」



 俺のデッキから4枚墓地に送られ、それをエネルギーにケルビムはアスモデゥスとベルフェゴールへ光線を放つ。当然2体とも撃破される。



「そして罠発動! スキル・サクセサー!

 俺のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで、400ポイントアップする!!

 勿論、対象はケルビム!」



 ライトロード・エンジェル ケルビム(攻撃力2300→2700)



「さらに! 墓地のスキル・サクセサーの効果を発動!!

 墓地に存在するこのカードを除外する事で、俺の場のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。

 これも対象はケルビムだぜ!!」



 ライトロード・エンジェル ケルビム(攻撃力2700→3500)



「グレイトッ! 全力で僕を倒しに来ている!!」

「当然だぜ! ケルビムでカイムに攻撃!! ライトニング・スピア!!」



 ケルビムの放つ槍がカイムに迫る。

 カイムの攻撃力は0、これが通れば永遠はかなり苦しくなる!



「ならばカイムの効果を発動!」

「やはり何かあったか!?」

「カイムの効果は、このカードが表側攻撃表示の時に、攻撃対象にされた時のみ、ライフを500ポイント支払って発動する!」



(永遠 LP4000→3500)



「僕がカードを1枚ドローし、お互いにそのカードを確認する。そしてそのカードの種類によって効果が変わる!

 モンスターならこのカードは守備に、魔法ならエンドフェイズまで戦闘破壊を無効に、罠なら攻守を逆転する!」



 つまり俺は今モンスターを引かれると一番拙い訳か。

 逆に奴は魔法を引けば、俺の勝ちは決定する。

 いくら流れが俺にあっても、奴のドローは十代と同じく流れを的確に掴み取るドローだろう。

 俺の流れが勝つか、それとも永遠が新たな流れを生み出すのか、結果がどうなるかは五分!



「さぁ! 運命の時間です! ドロー!」



 結果は……?



「僕が引いたカードは、罠カード、空虚。

 よってカイムの攻撃力・守備力は逆転する!」



 カイム(攻撃力0→2000)


 勝負の結果はドローって事か……。だがそれでも永遠にダメージを与えられるだけマシにしておこう。

 ケルビムの斬撃が通り、カイムは一刀両断される。


(永遠 LP3500→2000)


 そして、罠カード、空虚。また知らないカードだ。今度は一体どんな効果なんだ?



「俺はカードを1枚セット、そしてエンドフェイズ時にスキル・サクセサーの効果がきれ、ケルビムの攻撃力は元に戻る」



 ライトロード・エンジェル ケルビム(攻撃力3500→2300)



「ターンエンドだ!」



 俺の場にはライトロード・バリアが伏せられている。そう簡単にはやられないぜ?



「クックックック……」

「何がおかしい?」

「僕にここまでダメージを与えたのは、キング・オブ・デュエリスト以来です。

 正直、貴方がここまでやるなんて思ってませんでした!!」

「貴方なんて固っ苦しい呼び方はやめてくれ。司で良い」

「わかったよ、司。では、続けよう! 僕のターン、ドロー!」



 おいおい……嘘だろ? 流れを呼び込んでやがるぞ! まるで渦潮だ。

 俺にあった流れも永遠に吸い込まれていく。あの人はこんなのに勝ったのかよ!



「僕は永続魔法、上級悪魔との契約を発動!

 1ターンに1度手札をデッキに戻しシャッフル、そしてカードを1枚ドローする!」



 手札交換か。だが永遠のドローなら最悪を持ってきそうで怖いぜ。

 戻したカードは空虚か? 空虚の効果がわからないから判断出来んな。



「そしてカードを2枚セットして、エンドフェイズ時、上級悪魔との契約の効果を発動!」

「何!?」

「デッキの一番上のカードを墓地に送る!」



 ただの手札交換じゃなかったのか! これで大罪の悪魔が落ちれば最悪だな。

 他の大罪の悪魔がどんな効果かは知らないが、絶対碌な効果じゃない!



「今墓地に送られたサクリファイス・ゴブリンの効果を発動!」

「サクリファイス・ゴブリン?」

「このカードが墓地に送られた時に、墓地にある悪魔族モンスターの数1体につき300ポイントライフを回復する!

 墓地にあるカードは、全12枚、内悪魔族モンスターはサクリウァイス・ゴブリンを含め5体! つまり1500ポイントライフを回復!」



(永遠 LP2000→3500)


 大罪の悪魔じゃないが、中々鬱陶しいカードだな。まぁ、もっと墓地が溜まった時に出なかっただけマシか。



「ターンエンドです!」

「俺のターン! ドロー!」



 あのセットされたカードがかなり気になるが、今俺の手札にあれは破壊するカードはない。

 なら、ここは臆せず攻める!



「ケルビムでプレイヤーへダイレクトアタック! シャイニング・スラッシュ!!」

「罠発動! 空虚!!」



 交換してなかったか! 一体どんな効果だ?



「このカードを発動した時、フィールド上にモンスターの存在しないプレイヤーのデッキの上から5枚を墓地に送る!」



 5枚も送るだと!?

 残り大罪の悪魔の数も5体。墓地に送るカードの中にいる可能性は、十分ある!



「墓地に送ったカードは全てモンスター。内、大罪の悪魔は2体!

 現れろ! 強欲のマモン!! 憤怒のサタン!!」



 大罪の悪魔 強欲のマモン(攻撃力2600)

 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力3000)


 そう言って現れたのは黒い狐の面を着けたスーツの男マモンと、黒い狼の面を着けた黒騎士サタン。

 どうやら大罪の悪魔は全員何らかの面を着けているみたいだな。



「当然、この召喚方法で大罪の悪魔を呼び出したので、デッキから墓地へカードを送る効果が発生!

 マモンの分が3枚、そしてサタンの分が5枚の計8枚墓地に送る!」

「これ以上、大罪の悪魔が墓地に送られない事を願うね」



 いや、ホントマジで。



「墓地に送られた悪魔の証明と脇役の意地の効果を発動!!」



 大罪の悪魔は無かったようだが、2枚とも聞いたことの無いカードだな。



「まずは魔法カード、悪魔の証明から効果を発動!

 このカードがデッキから墓地に送られた時、デッキから悪魔族を1体特殊召喚する!

 僕はデッキからオセを特殊召喚する!!」



 オセ(守備力1300)


 出てきたモンスターはシンプルな黒豹。黒いが、別に面を付けている訳じゃない。

 大罪の悪魔じゃない?

 だが、ただの守備モンスターじゃないだろう。厄介なモンスターなのだろうが……どんな能力を持ってるんだ?



「オセの効果を説明しておきましょうか。

 このカードがフィールド上に存在する限り、僕の悪魔族の攻撃力と守備力は400ポイントアップする!!」



 大罪の悪魔 強欲のマモン(攻撃力2600→3000)

 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力3000→3400)

 オセ(守備力1300→1700)


 これは痛いな……このターンに1体だけでも大罪の悪魔を仕留めたかったんだが……。



「さらに罠カード、脇役の意地を発動!

 このカードが墓地に置かれた時、デッキからカードを2枚ドローする!!」

「バトル続行だ!

 俺はオセに攻撃するぜ!!」



 ケルビムの持ったレイピアがオセを貫き、あっさりと撃破する。

 永遠も撃破されるのがわかっていたんだろう。オセの役目はこのターン大罪の悪魔を守る事だったんだろうからな。

 オセが場から離れた事で悪魔たちの攻撃力は元に戻った。


 大罪の悪魔 強欲のマモン(攻撃力3000→2600)

 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力3400→3000)


 このターン手札にはモンスターが居ない……



「ターンエンドだ」

「エンドフェイズ時にマモンの効果を発動する!

 マモンが召喚,特殊召喚されたターンのエンドフェイズ時に、僕はカードを2枚ドローする!!」

「なんだと!?」



 冗談じゃないぞ!!

 このターンが始まった時は手札が0だったのに、もう手札が4枚になってやがる。

 ハンパじゃねぇ……強い。



「さて僕のターン、ドロー。

 僕のターンになった事で、サタンは僕の墓地のカードの数だけ攻撃力を上げる」



 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力3000→5400)



「攻撃力5400だと!?」

「そして、マモンの効果を発動!!

 手札を2枚捨てる事で相手のモンスターのコントロールを得る。

 君の場にはケルビムしか居ないから、ケルビムを頂くよ」

「何!?」



 これでライトロード・バリアの意味がなくなっちまった!

 俺の場のケルビムにマモンから湧き出た煙が纏わりつくと、ケルビムは永久の場に移っていた。



「更に! 墓地のカードが増えた事によって、サタンの攻撃力もアップする!」



 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力5400→5600)


 唯一の救いは、捨てたカードが大罪の悪魔じゃねぇって事か……。



「さぁ、サタン! ダイレクトアタックだ! ストライク・オブ・アンガー!!」



 サタンの振るう漆黒の剣が俺に迫る。

 これを喰らえば俺の負け、だが、念の為にセットしたカードがあるんだぜ!!



「罠発動! ドレインシールド!

 モンスターの攻撃を無効にして、攻撃モンスターの攻撃力分ライフを回復するぜ!!」



 これでなんとかこのターンを凌げる!



「フフ……エクセレント!!

 っと言いたい所だけど、残念。カウンター罠発動! イービル・ソウル!!」

「カウンター罠だと!?」

「このカードは、自分の場に悪魔族モンスターが表側表示で存在し、自分のデッキの上から2枚墓地に送った場合のみ発動できる。

 魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にして破壊する!!」



 大罪の悪魔 憤怒のサタン(攻撃力5600→5900)


 俺のドレインシールドが砕け、攻撃力の上がったサタンの剣が俺を貫く。

 俺の……負けか……。

(司 LP2400→0)





「ゲームセット。俺の負けだ」



 デュエルが終わり、大の字で寝転ぶ。

 ちくしょぉ……勝ちてぇな……。



「司も、僕の想像以上のデュエリストでしたよ。

 僕がモンスターをここまで出すなんて、凄く久しぶりでしたしね」

「勝った奴に言われても嬉しくねぇが、褒め言葉として受けとっておくぜ」

「フフ、本心ですよ。それじゃぁ、僕は先に帰りますね」



 そう言って永久はブルー寮の方へ去って行った。



「次デュエルする時までに、俺は絶対に強くなってやる!!

 だから、今度デュエルする時は絶対に勝ってやるからな!!」



 寝転びながら叫んだ言葉が、永久に届いたかわからない。

 だけど、その言葉に永久が



『楽しみに待っている』



 と返事をしたような気がした。





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あきゅろす。
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