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遊戯王GX  −Selfish−
第2話 E・HERO vs ライトロード B


「オレのターン! ドロー!!」



 流れが変わった!? 十代のやつ、何か引きやがったな!



「フィールド魔法、フュージョン・ゲート発動!!」

「ちぃっ!」



 流石にルール効果では守りきれないな。

 遺跡が崩れ、元のレッド寮前に戻る。

 違うのは頭上に異次元の扉があるだけ。

 更にライトロードの攻撃力が元に戻っちまった。


 ライトロード・ウォーリアー ガロス(攻撃力2050→1850)

 ライトロード・パラディン ジェイン(攻撃力2000→1800)


 十代の残りの手札は2枚、何が来る?



「これで融合のカード無しでも融合素材を除外する事で、融合が出来るようになったぜ!

 更に魔法カード、融合回収を発動する!!」

「墓地の融合に使用したモンスターと融合を手札に持ってくる……か」

「あぁ! オレはフェザーマンと融合を手札に加えるぜ!

 更に、フュージョン・ゲートの効果を発動!!

 E・HERO フェザーマンとE・HERO ワイルドマンを融合!」



 この融合パターンは……ワイルド・ウィングマンか!?

 なるほど、狙いが読めたぜ。確かに今一番ベストな戦法だ。



「いでよ! ワイルド・ウィングマン!!」



 E・HERO ワイルド・ウィングマン(攻撃力1900)


 予想通りワイルド・ウィングマンだ。

 何が凄いって、マッチョなおっさんがフェザーマンのコスプレをしてるだけにしか見えない。

 絵面的に凄いキツイ。

 だが、効果は見た目に反して……いや、見た目通りえげつない。



「ワイルド・ウィングマンの効果発動!

 手札を1枚捨てる事で、場の魔法・罠を1枚破壊する。

 オレが破壊するのは、ライトロード・バリアだ!!」



 この為に融合を回収か。

 手札を使い切ったが、これなら十代は流れを掴める。

 俺のライトロード・バリアが、ワイルド・ウィングマンの巻き起こしたサイクロンによって破壊される。





「アニキ凄い!! これで司君のモンスターに攻撃できるッス!!」

「それだけじゃないにゃ。司君のモンスターはこのまま行けば全滅、しかもフレイム・ウィングマンの効果で大ダメージを与えるにゃ。

 流れは完全に十代君に流れてきてるにゃ!」





「行くぜ! フレイム・ウィングマンでガロスに攻撃! フレイム・シュート!!」

「くっ……墓地のシールド・ウォーリアーの効果を発動!!」

「何!?」

「ダメージ計算時、墓地に眠るシールド・ウォーリアーを除外する事で、俺のモンスターの破壊を防ぐ!

 まぁ、破壊はされないだけで、ダメージはくらっちまうけどな」





「上手いのにゃ!」

「どういう事ッスか?」

「司君はあのままだったら全滅の上に大ダメージで良い事無しにゃ……。

 でも、フレイム・ウィングマンに攻撃されたガロスを破壊から守る事で、フレイム・ウィングマンの効果は発生せずに、全滅も回避できるにゃ!」





 本来なら前のターンのジェインとフレイム・ウィングマンの先頭で使うつもりだったんだが、仕方ない。

 ガロスはフレイム・シュートを耐え切り、俺の場に立つ。

(司 LP4000→3750)



「なら、ワイルド・ウィングマンでジェインに攻撃! ウィング・インパルス!!」

「くっ、ジェイン!」



 ジェインの攻撃力が上がるのは、相手モンスターに攻撃する時のみ。現状では、ジェインを守る事なんて出来ず、破壊される。

(司 LP:3750→3650)



「ターンエンドだ」



 流れは十代に傾いている。

 ガロスを残した事で、辛うじて完全に十代に向いてないだけだ。



「俺のターン……」



 現在俺の手札には、あの2人を倒すカードは無い。

 つまり、このドローで決まる。

 この程度の流れを掴み取れないようじゃ、俺はこの先成長なんか出来ねぇ!



「ドロー!!」



 引いたカードは……イケる!



「俺はガロスを生贄に、ライトロード・エンジェル ケルビムを召喚!!」



 ライトロード・エンジェル ケルビム(攻撃力2300)



「スッゲー! なんだコイツ!!」



 俺の場に現れた天使に、十代は興奮しっぱなし。

 けど、効果を聞いたらビビるぜ?



「ケルビムの効果発動!

 ライトロードと名の付くカードを生贄にして召喚に成功した時、デッキの上から4枚墓地に送る事で、相手フィールド上のカードを2枚まで破壊する!!

 俺が選ぶのは、フレイム・ウィングマンとワイルド・ウィングマンだ! シャイニング・バースト!!」

「フレイム・ウィングマン!? ワイルド・ウィングマン!?」



 ケルビムの両手から放つ2本の光線によって破壊される2人。

 見た目は綺麗な女天使のに、やってる事はなんつうか……悪魔じみてるな。





「あぁっ! アニキの場ががら空きになっちゃった!?」

「司君も凄いのにゃ、たった1枚で形勢逆転にゃ」





「なんの慰めにもならんが、この効果でライトリサイレンスは発動しないから安心しろ」

「本当になんの慰めにもなんねぇよ!?」



 まぁ、前もって慰めにならんと言っておいたしな。

 これって、発動コストだから発生しないんだよな。

 ってか、今ので結構ライトロード墓地に落ちちまったな。4枚中3枚がライトロードとは……せめてウォルフが落ちて欲しかった。



「行け! ケルビムで十代にダイレクトアタック!! ライトニング・スピア!!」



 十代の前に瞬時に移動し、手に持った槍を突き刺す。

 コイツ絶対ドSだ。ワザワザ心臓を刺す辺りがエゲツナイ。

(十代 LP4000→1700)



「俺は1枚カードをセットし、ターンエンドだ」



 このターン、いつもの俺ならフュージョン・ゲートとフレイム・ウィングマンを破壊し、ワイルド・ウィングマンを攻撃。

 十代の場には何も残さないのがいつもの俺の戦法。

 しかし、今回敢えてフュージョン・ゲートを残してみた。

 十代に敢えて流れを少しだけ残した。

 俺の予想通りなら、十代はたとえ全て破壊したとしても流れを掴んだだろう。

 むしろ、俺に流れがあった時の方が自分の流れを掴みそうだ。

 ならば完全に俺の流れではなく、少しだけ十代に流れを残す事でどんな引きをするのか気になる。



「オレのターン! ドロー!!」



 さぁ、何を引いた?



「オレは魔法カード、強欲な壺を発動するぜ!

 自分のデッキから2枚ドローする!!」





「ここで強欲な壺を引いたのにゃ!?」

「アニキの運はまだ尽きてないッス!!」





 この流れは予想の範囲内だ。

 手札が0の状況で自分に悪い流れの場合、まずは手札補強。

 特に十代の使うE・HEROはコンビネーションが鍵。

 劣勢時の手札補強は最重要なのだが、こうもアッサリそれをされると癪だな。



「来たぜ! オレはフュージョン・ゲートの効果発動!!

 E・HEROスパークマンとE・HEROクレイマンを融合!!」

「マジか!?」



 この場面でそいつかよ!!



「現れろ! E・HERO サンダー・ジャイアント!!」



 E・HERO サンダー・ジャイアント(攻撃力2400)


 ヤバいな……この一見すると現代版雷様も、結構えげつない効果だからなぁ。

 ケルビムの事、根に持ってやがるな。



「サンダー・ジャイアントの効果発動!

 融合召喚に成功した時、サンダー・ジャイアントよりも元々の攻撃力の低いモンスター1体を破壊する!!

 当然、ケルビムを破壊! ヴェイパー・スパーク!!」

「くっ!?」



 雷様が女天使を破壊。パッと見、女に襲い掛かってる変態に見えるから不思議だ。

 それにしても、しっかり状況に合わせて嫌なカードを出してくるな。



「行け! 司にダイレクトアタックだ!! ヴォルティック・サンダー!!」

「……ッ!!」

 痺れる! 痺れる! ってか、声が出ねぇ!

(司 LP3650→1250)



「ターンエンドだぜ」

「やってくれたな! 十代! 心臓麻痺しちまうかと思ったぜ!!」

「司こそ心臓を突いたじゃねぇか!」

「知らん!」



 ふぅ、落ち着いた。

 十代には驚かされっぱなしだぜ。

 んじゃ、行くとするか!



「行くぜ! 俺のターン! ドロー!!」



 既に勝利の為の準備は前のターンに終わってる! 一気に行くぜ!



「ライトロード・サモナー ルミナスを攻撃表示で召喚だ!」



 ライトロード・サモナー ルミナス(攻撃力1000)



「来たな! 入試の時の効果を覚えてるぜ。

 でもレベル4以下のライトロードなら、よっぽどの奴じゃないとサンダー・ジャイアントは負けないぜ?」

「E・HEROと一緒さ。仲間とのコンビネーションさえあれば勝てる!!

 ルミナスの効果発動、手札を1枚捨て墓地のレベル4以下のライトロードを、俺の場に呼び出すぜ!

 来い! ジェイン!! ライトロード・リザレクション!!」


 入試の時同様、ルミナスの組んだ陣の中からジェインが現れる。


 ライトロード・パラディン ジェイン(攻撃力1800)


 さぁ、もう一息だ!



「さらに魔法カード発動! おろかな埋葬!

 自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る!」

「デッキから墓地へ……ウォルフか!?

 でもサンダー・ジャイアントを倒すには攻撃力が足りないぜ!」





「ウォルフって何にゃ?」

「確か、ライトロード・ビースト ウォルフってカードッス。

 デッキから墓地に送られた時に場に特殊召喚するってカードッス。

 司君が入試デュエルで使ってたッスよ」

「デッキから墓地に送られた時に……確かに司君のデッキにピッタリなカードにゃ

 でもそれじゃぁ、サンダー・ジャイアントには勝てないみたいに言ってるにゃ?」

「確か攻撃力が2100ッス。だからサンダー・ジャイアントには届かないッスよ」

「って事は、司君は別のカードを送るつもりにゃ」





「甘いな、俺のデッキがライトロードだけと思ったら大間違いだぜ!

 俺が墓地に送るカードは暗黒魔族ギルファー・デーモンだ!!」

「ギルファー・デーモン!?」



 俺のデッキからギルファーデーモンが墓地に送られる。



「そしてギルファー・デーモンの効果発動!
 このカードが墓地に送られた時、場のモンスターに攻撃力500ポイントダウンの装備カードとして装備する。

 勿論、対象はサンダー・ジャイアントだ!!」



 E・HERO サンダージャイアント(攻撃力2400→1900)



「くっ……」

「一気に行くぜ! バトルだ! ジェインで攻撃! 輝士道一閃!!」



 ジェインの振り下ろした一撃がサンダー・ジャイアントに迫る。

 今度こそお前の攻撃は通るぜ!!



「ジェインの効果発動!!

 このカードが相手モンスターに攻撃する時、ダメージステップの間攻撃力が300ポイントアップする!!」



 ライトロード・パラディン ジェイン(攻撃力1800→2100)



「さらに罠発動! スキル・サクセサー!
 俺のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで、400ポイントアップする!!」

「なんだって!?」

「対象は当然ジェインだ!」



 ライトロード・パラディン ジェイン(攻撃力2100→2500)


 本来なら決して勝てない相手。

 だが仲間とのコンビネーションでジェインはサンダー・ジャイアントを一刀両断する。

(十代 LP1700→1100)



「くぅ、危ねぇ! あとちょっとで終わる所だったぜ」

「いや、十代、お前の負けだ」

「はぁ? だって司の場のルミナスじゃ、俺のライフを削りきれないぜ?」



 見事に意味不明って顔してんな。



「墓地のスキル・サクセサーの効果発動だ!」

「墓地から罠を発動だって!?」



 やっぱ知らなかったか。だが、容赦はしないぜ。



「自分ターンに墓地に存在するこのカードを除外する事で、俺の場のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。

 当然対象はルミナスだ!!」



 ライトロード・サモナー ルミナス(攻撃力1000→1800)



「すげぇ! こんな罠があったのか!!」



 まぁ、かなり珍しい罠だからな。

 自分ターン限定だが墓地から発動する罠なんて、俺もこのカードしか知らん。



「フィニッシュだ! ルミナスで十代にダイレクトアタック!」



 当然、場にフュージョン・ゲートしかない十代にルミナスの攻撃を防ぐ手段など無く。十代とのデュエルは決着した。

(十代 LP1100→0)





「司、お前すげぇ強いな! デュエルアカデミアって司くらい強い奴がゴロゴロしてんのかな?」

「十代の方こそ強いな。フレイム・ウィングマンとワイルド・ウィングマンが出た時にはヒヤヒヤしたぜ。

 十代、お前ここの試験官なんかよりもずっと強いぜ。おそらく、ブルーの奴でもお前に勝てる奴は中々居ないな」

「その俺に勝ったくせによく言うぜ。

 あ、忘れてた。ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」



 ガッチャ? 十代なりの挨拶ってところか?



「あぁ。ゲームセット!! 俺も久々に楽しいデュエルだったぜ。

 十代、お前もっと強くなるぜ。この俺が保障してやるよ!」



 もちろん俺ももっと強くなるんだがな。

 十代みたいな奴がいるのなら、ここに来た意味はあったな。

 俺も十代もまだまだ強くなれる、互いを高めあえる気がするぜ。



「サンキュ! 次は勝つからな!」

「ハッ、まだまだ負けんさ!」

「二人とも凄過ぎるッス! 」



 とりあえずは良い初日だな。

 そんな事を考えていると十代のPDAにメールが届く。内容は万丈目とかいう奴とのアンティ・デュエル。

 誰だと尋ねてみれば、校内を見てた時に会った程度。

 つまりレッドの生徒を叩き潰そうと、下らんプライドの為にデュエルを申し込んできた訳か。

 連戦とは言え、今の十代が負ける訳無いから心配はせんが、ブルーの実力を見るのにはちょうど良いかもしれん。

 もちろん所属だけで実力を測るなんぞせんが、参考程度にはなるだろう。



「アニキ、明日香さんが相手にしちゃダメだって……」

「何言ってんだ、デュエルだぞ? 挑戦されたら受けるのが男だろ!」

「でも〜……」



 翔、心配しすぎだろ。どんだけネガティブなんだ?



「心配すんなよ、翔。さっきのデュエル見てただろ? 十代がそこらの奴に負ける訳ねぇよ! なぁ? 十代?」

「当ったり前だぜ!」

「でもぉ……」



 十代くらいとは言わんが、ちょっとは見習え。

 そんな事を喋っていたらデュエル施設に着いた。しかし、予想とは違う光景がそこにはあった。

 膝を着いているのが、さっきメールを送ってきた万丈目だろう。さっき見た画像の男だら間違いない。

 その後ろで驚愕の顔をしている二人が、十代が言ってた万丈目の金魚の糞だろう。

 だが、万丈目の対面に居る男は誰だ?

 十代と翔もこの光景に驚いている。


 ブルーの制服に起動中のデュエルディスク、何よりも十代そっくりの顔。

 十代と違う所は左眼に片眼鏡をしている事と、十代よりも多少髪が長いこと位だろう。

 こいつは一体誰だ?




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