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小説2
拍手(2009.5月)



《弱いんだ》



「どうしよう……」
「マズイっすよね……」
困り顔の10代目を前に、お役に立てないのが悔しい。
(どうにかしなきゃ!)
10代目のお役に立たなければ!
(俺は、右腕なんだから!)
「10代目、俺に任せて下さい!」
「え……どうするの?」



携帯で呼び出して15分。
迷惑そうな表情のシャマルが、俺と10代目の前に立つ。
「頼む!」
「お願いします!」
「……お前らな……」



今日は《母の日》
10代目から、『ビアンキが《母の日》にお祝いの料理を作るって言われたんだげど……』と相談を受けたのは一昨日。
『駄目っす!』
『だよね〜……』
ビアンキに作らせたら、ポイズンクッキングで《母の日》が台無しになるのは明白。
『息子の俺がお祝いの準備をしたい』と、綱吉がビアンキを説得。
渋々引き下がらせた迄は良かったのだが……
山本は店の手伝い―――《母の日》の注文で忙しいらしい―――笹川とハルも、自宅でそれぞれお祝いをするらしく、獄寺と綱吉ふたりで料理を開始したのだが……
結果は散々で、綱吉宅のキッチンは無残な状態になった。



「一々俺を呼ぶな!」
食材を次々に籠に放り込みながら、文句を口にするシャマル。
「10代目のお役に立てるんだから、良いじゃねーか!」
籠を乗せたカートを押す獄寺。
「役に立ちたくね〜の」
「10代目と、お母様の為だ!」
炭にした食材の変わりを、スーパーで買い出しするふたり。
綱吉は自宅で、焦げ付かせた鍋や、キッチンの片付けをしている。
「もう、お前からの電話には出ね〜」
「……仕様が無いだろ。頼れるの、シャマルしかいねーんだから……」
拒否の言葉に、つい弱気な声色になると、ぽんぽんと柔らかく頭を叩かれた。
「ほら、とっととレジ済ませて帰るぞ」
『奈々ちゃん、夕方には戻るんだろ?』
リボーンやビアンキ―――その他、沢田家居候組―――に連れ出された奈々。
帰宅迄には、祝いの席を整えておかなければならない。
「シャマル……」
「奈々ちゃんの為だからな」
『付き合ってやるよ』と、迷惑顔を一転してにやりと笑う。



END


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あきゅろす。
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