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小説2
臆病な心@
注)アニメの、未来から現代に一時帰宅した時設定です。





真っ直ぐ進めば、自分の住むマンション。
左に曲がれば、シャマルのマンションに向かう道。
目の前の分かれ道に、動きが止る足。



『会いたい』と思う気持ちと、それを迷わせる揺れる思い。
(こんな時まで、逃げ癖かよ……)
『逃げ癖が有る』とは、言われた事も有るし、自分自身でも自覚が有る。
未来で、ずっと逃げ続けていた事に向き合う決心を付けた。
全てが終わったら、ビアンキと―――逃げた実家と―――向き合おうと。
(なのに……)
新たに涌いた問題。



『シャマルは、生きているのか?』



気になりながらも、聞く事の出来なかった問い。
『日本にいるボンゴレ関係者は、かなり殺られた』
(シャマルは?)
簡単に殺られる男じゃない―――それだけの実力が有る。
日本に居たとは限らない―――いつだって、何にも縛られずにふらふらしている男だ。
(でも!もしかしたら……)
殺された者とは別に、消息不明の者も多い。
認めたくは無いが、ボンゴレの組織力は弱くなっていた。
情報が、不足していた。
(わからない)
ビアンキも、誰も、シャマルの事を口にしなかった。
『望む答えが返らなかったら?』
そう思うと、自分から口にする事は出来なかった。



『今は余計な事を考える暇は無い』
そう言い聞かせ、聞きたくても聞けない問いを心の底に沈めた。
新たな戦い方を習得をする為の修行。
命をはった戦闘。
全く余裕を許さない状況に、《シャマルの生死の有無》から逃げる事に成功していた。



(だけど……)
一時的にとはいえ、帰る事の出来た世界。
張り詰めていた緊張が和らぎ、それぞれが帰るべき家に帰って……
『俺は、何処に帰る?』
帰りたい、会いたいと思うのは―――思い浮かぶのは、シャマル。
だけど……
謎を謎のままに帰って来た事で、酷く不安になる。



また、未来に行かなければならない。
あの世界に、シャマルがいなかったら?
不安、怖れ―――暗く悲しい思いが、自分を臆病にする。
こんな気持ちのまま、シャマルに会ったら、俺はどうなるのだろう?





「隼人!」
「っ!!」
びくんと、獄寺の体が大きく揺れる。
背後から聞こえる、久し振りの声。
足音が聞こえなくとも、気配を読み取る事が出来なくとも、近付いて来るのが分かる。
徐々に強くなる―――愛用の煙草と香水の香り―――シャマルの匂い。
「隼人!」
肩に温もりを感じた瞬間、弾かれた様に、強く逞しい胸に飛び込んだ。





《後書き》

未来編で、全く出て来ないシャマル先生。
アニメでは、現代に戻ったから出て来るかな?
期待を込めて書きました!
シャマル先生バージョンも書きます('0')/


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