小説2 シャマルの膝 「あ〜〜〜、もう!ちょろちょろすんじゃね〜!!」 医療器具の並ぶ室内を、元気に走り回る隼人を捕まえ、膝に乗せてホールド。 「今日のおやつ、シュークリームなんだぜ〜」 ふっくらした頬にクリームを付けながら、旨そうに食べる―――俺の膝の上で。 「新しい本を買って貰ったんだ」 得意気に自慢して、熱心に読書―――俺の膝の上で。 「ん〜ん〜ん〜」 甲高い声で唸り声を上げながら、家庭教師に出された課題を解く―――俺の膝の上で。 今日も膝によじ登って来る。 「隼人!俺は椅子じゃねーぞ!!」 「え………?」 きょとんと、上目に見上げる瞳を丸くして、小首を傾げる。 「シャマルは椅子じゃ無いよ」 「そ〜だ。わかってんなら……」 「変なの〜」 『降りろ』と続く筈の台詞は、くすくすと笑う声と、無邪気な笑顔に飲み込まれた。 そして、今日も俺の膝の上には隼人が居る。 終わり 《後書き》 ちびっ子と遊んだ時の、リアルエピソードからのお話しです(^-^) [次へ#] |