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black game
megalopolis・Alice、行動開始。
2010年、初冬。
megalopolis・Aliceの存在が公表されてからすぐに時は経った。
日本が狙われると思い切っていた各国はmegalopolis・Aliceによってその注目をすり替えられてしまった。
なんと、日本よりも先に中国が落とされてしまったのだ。
早速実践をと、Adamやeveを使う前に終焉を迎えた中国に日本が失望したのは言うまでもなく、しかし今度こそはと気合いをいれた日本を嘲笑うかなように、中国を落として以来、Aliceに動きは見られなかった。
一体どれだけの人間がAliceの行動を不気味に思い、平和や幸せを願っただろう。
長いようで短い月日は、あっという間に過ぎ去っていった。


時刻は21時を回っていた。
男は何度も時計に目をやる。
「宗矢の奴…遅いな」
呟きを零した男、瀧澤和都(タキザワカズト)は、黒いロングコートに身を包み、その下には黒いスーツを着ていた。
地下鉄の改札口のベンチに腰掛け、親友柘君宗矢(ツギミソウヤ)を待つ。
約束の時間は19時半であった。
そろそろ着いていてもおかしくないはずだというのに、彼の姿はなく、ただただ時が経つばかりであった。


***


2時間前、side宗矢。

せわしなく歩く国民を眺めていると、安心の息が自然ともれる。
良かった、まだ日本は無事だ。
幾度確認したかわからない程の事に、自分自身、苦笑する。
Aliceが現れてからは、いつこの国が終わるのか不安で仕方なかった。
俺がeve班で和都はadam班、通常の日は会社でAliceの情報を探る。
漸く1ヶ月に一度の長期休暇が取れて、俺達は二人で久々に旅行をする事にした。
昨夜、電話で夕刻からの電車は混むぞ、と和都から言われたが、慣れていると軽くあしらう事に成功した喜びは未だに取れない。
いつも口で負かされるのが屈辱的だった。

電車に乗り込むと端の駅だからか乗客は少なかった。
しばらくぼんやりとしていたが、あることに目線が行ってしまった。
改札からホームに降りてきたエレベーター。
そこに乗っていた男が電車に乗り込む。
何故か膨らんでいる巨大な保冷バッグを台車に乗せていて、やたらと周りを気にしている。
電車の椅子に腰掛けた男はきょろきょろとしながらリュックを大事そうに抱えつつ、保冷バッグを大事そうになでた。
明らかに怪しい。
しかし、もうじき出発の電車には乗客は少なく、誰一人としてそれに目線を与える事はしなかった。

怪しいのは明らかなのに…なんなんだ?この違和感。

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あきゅろす。
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