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財前くんに会えたのはすっごい嬉しかったんだけど…
話す勇気までは無かった。
大体、こっちの一方的な片想いなんだから財前くんは私のことなんて知らないんだし…
この事を考えると切なくてたまらなかった。
学校に残っててても暇だし…帰ろう
1人深い溜め息をつきながら荷物を持って教室から出た。
「おぉ、ミナ。ちょうどええところに」
『オサムちゃん』
声をかけられ顔を上げると、オサムちゃんが廊下から歩いて来ていた。
「ちょっと頼みがあるんやけど」
ニコッと笑うオサムちゃんの手には大量のプリントと教材…
嫌な予感がする
「コレ視聴覚室まで運んどってぇや」
『やっぱり…』
予想通り。
こんな大荷物を持って頼みごとをするといえば荷物運びがお約束というもの。
「今からすぐに職員会議が始まるねん」
『もう少し計画的に行動しましょう』
「はーい。悪いな」
しぶしぶ荷物を受け取ると、オサムちゃんは急ぎ足で廊下を駆けて行く。
オサムちゃんはいまいち先生に見えないな…
後ろ姿を見送り、視聴覚室へと足を進めた。
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