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「何をしているんだ……」
「あ、勾陣様。おはようございます」
どたばたと室内を走り回っていた音を聞き付けた勾陣が、わかりやすいほどに呆れている。傲越の尾を掴み、足を噛み付かれている姿を見れば流石の十二神将も呆れるしかないといったところか……。
「意外と子供っぽいのだな」
「あははは……」
「いい加減、放せ!!」
「あ、ごめん」
素直に手を離してやると、傲越は身震いをして不機嫌そうにしておすわりの姿勢をとった。
「出かけるんだろ? さっさと支度しやがれ」
「なんだかんだ言って、ついて来るんだ」
「あん?」
「別に……」
きっと暇だからなのだろうが、傲越も中々素直ではないのだ。本人には言わないが。
「出かけるのか。しまったな、晴明に呼ばれているのだが」
「どうぞ私のことはお気になさらずに。たいした用ではありませんので」
「そうか。何かあれば安倍邸に言ってよこせ」
「わかりました。晴明様によろしくお伝えください」
「承知した」
快諾してくれた勾陣を見送り、未だに不機嫌な傲越の方へと視線を向ける。
おすわりの体勢はそのままに、不服だと言わんばかりに床についた尾が左右に揺れている。
複数の尾を器用に動かす様は、見ていてとても面白い。
「さ、行くぞ傲越」
「命令するな!」
「はいはい。行きたいんだろ。仕方ないなー」
「聞けー!」
絶叫する傲越を宥めながら、屋敷を後にした。
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