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1(前編)

蔀の透き間から差し込む光が、起きる時間であることを告げている。

「ん〜?」

基本的に目覚めは良い方だが、今日はどうにもすっきりしない。変な夢を見た覚えはないのだが……。

「おい、どうした?」
「おはよう、傲越」

夜の間に外に出ていたのだろう。部屋の隅の方で丸くなっている姿をだけなら動物と大した差はないが、如何せん目つきと言動が悪すぎる。
こう考えると騰蛇の仮の姿である物の怪は、愛嬌があると思う。

「なんか言いたげだな」
「これと言っては……」

ごまかす様に茵から起きると、手早く外出用の狩衣に着替える。

「出かけるのか?」
「うん、たぶん」
「なんだ。はっきりしないな」

いつもと違う様子に、傲越の表情も自然と渋いものになる。

「厄介事じゃねぇだろうな。お前は、何かと面倒事に巻き込まれる」
「……残念なことに」

否定できないのが腹立たしい。

「巻き込むなよ!」
「……努力はしてみよう」
「疫病神!」
「ちょっと待て。それは聞き捨てならないんだけど」
「知るか」

斜に構えてる傲越の背にためらいなく蹴りを入れる。もちろん傲越もやられっぱなし等にはしないので、二人はしばらく無言の攻防を繰り広げた。



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あきゅろす。
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