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頭の中で段取りを整えている間に牛車は、東三条殿へと着いた。
先を行く女房は道長から聞いているのか、何も言わずに寝殿へと案内してくれている。
主催とあって、屋敷の中からは慌ただしい印象を受ける。
「殿、お連れ致しました」
「おお、待ち兼ねたぞ」
「遅くなりまして」
優雅な動作で膝を折り、深々と頭を下げる。
「妙な事を頼んですまないな」
「いえ」
「それにしても見違えたぞ」
道長に用意してもらった衣装をまとい、髪に少々細工をし、ほんの少し化粧も施したその姿は、女性だと言われればとりあえず納得してしまうだろう。
「とにかく、姫達の護衛は任せたぞ」
「かしこまりました」
深々と頭を下げると、道長は満足した様に頷き、立ち上がった。まだやらなければならない事があるのであろう。そのまま奥へと消えていく。
「ここまで来たら、帰りたいとは言えないな」
先ほど案内してくれた女房の先導で、時間まで控えの間で待つことにした。
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