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最初に道長の所に案内してくれた女房は、伝言の役割をしっかりと果たしてくれた。
道長からの返答を持って帰ってきた女房に礼を言うと、後の事を真子に任せて、渡殿を進む。

『本気でやるのか?』
「気乗りはしませんけどね」

自らの手の内にあるのは、華やかな桜の花弁が描かれた扇。

広い庭から、笑い声や談笑が聞こえてくる。
先を行く女房が合図を出すと、そこに雅楽の音色が響き渡る。

その音に乗って、身体は動き出していた。
開かれた扇は美しい弧を描き、踏み出す足は独特のすり足で。
扇を左から右へ流し、身体の向きを変れば、袂は風に乗ってひらめく。

その様子を遠目に見ていた神将たちは、意外な一面に笑みを称えていた。

『まさか、姫が目覚めるまで、自分が舞って時間稼ぎをするとは』

道長への伝言は、姫の中に、緊張してしまっている者がいるので、自分が最初に舞を披露しても構わないかというもの。
二つ返事で了解を得た後、真子に姫達が目を覚ましたら、連れて来るように頼むと、自分はさっさと支度を整えたのだ。

『本当に驚きました』
『俺もだ。やはり、まんざらではなかったようだな』

本人が聞いたら、頭を抱えそうな言葉に神将たちは笑みを深くした。



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あきゅろす。
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