使うかもしれない、使わないかもしれない。 ◯◯◯◯ 初めてあの果実を見た、その時。 オレは胸が高鳴るのを感じた。 触れてはいけない。 そんな禁断の果実に、触れたい、と思ってしまった。何度も手を伸ばしかけては理性の力でそれを押し留める。 触れたいのに。 触れてはいけない。あれは禁断の果実なのだから。 相反する二つの声。 しかし、ある時。 偶然、そう、あれは偶然の出来事だったのだ。偶然オレの手はあの果実に触れた。その甘美な体験はその後のオレの人生を大きく変えてしまった。あの果実無くしては生きられないほどに。 夏目漱石の小説にはこうある。 「精神的に向上心のないものは、ばかだ」と。この言葉は今のオレに深く突き刺さる。ああ、オレはばかだ。笑ってくれ。欲に負けたこの愚か者の末路を。この人生を。 オレは、あの果実無くしては生きられなくなってしまったのだ。 【作者のひとりごと】 さて問題です。 この禁断の果実とは何でしょう? ほとんどノーヒントですが、題名の◯の数がその文字数です。 っていうかあれだな、なんて私はくだらないものを作ってしまったんだろう。 《前のお話》 [戻る] |