使うかもしれない、使わないかもしれない。 運命という名の…? 「ああ、運命だよ、これこそが運命。僕たちは祝福されている!天の神よ!感謝いたします!」 そう言った男は非常に整った顔立ちをしていた。漆黒の髪にキリッとした眉毛、長い睫毛に縁取られた目。その奥の瞳は愛おしげに相手の女性を見つめている。 男はまるで王子のように跪き、その女性の手を取ってそっと口付けた。恥ずかしげに、しかし少し照れたように女は頬を紅く染める。 近くの木の陰に隠れていた私は思った。 男よ、いくらイケメンだからって神はそんなに沢山運命の出会いを用意してはくれないと思うぞ、と。 男の吐くセリフと仕草にドン引きしながらも、仕事はやらねばならぬと手帳とペンを取り出す。 これで12人目…っと。 【作者のひとりごと】 ドン引きする主人公の心情がふと書きたくなって書いたものです。イケメンでも許されないことはあるんだよ…! 因みに主人公は女性です。 ホームにBLですって書いてあるのにどこに行ったんだろうその要素は。 でも大丈夫。たぶん。ドラゴンがどうにかしてくれるって信じてるから! あ、そうそう、君の顔で"僕"はないって主人公に言わせたかったんですが断念しました。どこに入れても文章がしっくりこない。 《前のお話》《次のお話》 [戻る] |