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長編小説
2.ゴミ箱に
夕方の我が家は、雑多な気配がそこかしこにある。

実家暮らしをしているため、家事をしている母親や、その手伝いをしている姉、隣の部屋では弟が自室でくつろいでいる。

そんな、いつ誰が部屋にやって来てもおかしくない状況。

それが基樹にとっては最高のスパイスだった。

部屋の入り口に背を向けた状態で椅子に座り、目の前のパソコンから少し大きな音で音楽を鳴らす。

それからゆっくりと、ズボンと下着を膝まで下ろした。
前を寛げて性器だけを取り出すより、この方がより緊張感が高まる。

基樹は興奮に頬を染めながら、さきほど空にしたゴミ箱を手に持った。

隣の部屋にいるはずの弟が、部屋の中を歩いている気配を感じながら、基樹はゆっくりと下肢の力を抜く。

シャアッと出始めた小便が、ゴミ箱の底に当たってジョボジョボと音を立てた。

基樹は陶然とした表情で、手に持ったままのゴミ箱に放尿を続けた。

誰かが廊下を歩いている足音がして、少し緊張したが、どうやら通り過ぎただけらしい。

ホッと安堵の息をもらし、基樹は体内にため込まれていた小便を、すべてゴミ箱の中に吐き出した。

衣服を正してから、改めてゴミ箱の中を見てみると、ほんのり湯気を立ち上らせながら、小便がたぷたぷとたゆたっている。

これをどうやってトイレに流すかは、とりあえず後で考えるとして。
今回も、誰にバレることもなく放尿できたようだ。

さあ、明日はどうやって小便をしようか。

ペットボトルとかも、面白いかも知れない。



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あきゅろす。
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