長編小説
9.我慢の限界
夏休みも終わりに近づく頃。
双子たちは、ゼミ合宿に出かけなければならないと言って、朝早くから家を出た。
せっかくの亨の休日なので、家にいたいのはやまやまらしいが、この合宿をサボると単位がもらえないらしい。
よくよく話を聞いてみると、ほとんどサボリまくっていて、教授に説教を食らったようだ。
そういえば、ここ最近の双子たちは、いつも亨と一緒にいる。
確かに、平日の日中は、亨は仕事に行っているし、双子たちはちゃんと大学に通っているはずだ。
けれど、それ以外の時間は常に兄弟三人で過ごすのが当たり前のようになっている。
あまりに違和感がなくて、すっかり亨も忘れていたが。
いつまでもこのままではいけない、と思いつつも、双子たちに強要されるまま、ズルズルと関係は続いている。
本当は、きっぱりと亨が拒絶できれば一番いいのだが、それが一番難しかった。
結局、亨自身が三人の関係に甘えきってしまっているのだ。
嫌だと言いながら、オムツに排泄することも、真に抱かれることも、体は拒絶していない。
双子たちのいない一日は、今後のことを考えるのにちょうどいい機会だ。
そう思い直して、亨は自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がった。
ぼんやり天井を眺めながら、いろいろ考えてみるものの、はっきりとした答えは出てこない。
その内尿意を感じた亨は、ベッドに仰向けになったまま、オムツの中にシャアッと小便を吐き出した。
尿意を感じたらすぐに排泄してしまうのはいつものことで、双子たちがいようといまいと関係がない。
ジャアジャアとオムツの中に溢れ返る小便を感じながら、ふと、
「あ。今日は自分でオムツを替えなきゃならないのか」
よくよく考えてみれば、始めてのことだ。
今までは彰が嬉々として交換してくれていたので、そんなことをするなど思ってもみなかった。
替えのオムツはおそらく双子たちの寝室にあるはずだ、とうろ覚えの記憶を頼りに、濡れたオムツのまま、亨は部屋を出た。
案の定、オムツを見つけた亨は、早速汚れたオムツを脱いで、新しいオムツを股間にあてる。
が、テープ式のオムツを自分で穿くのは存外難しかった。
時間をかけて、どうにか穿いたものの、ちゃんと穿けているかどうか、心許ない。
しばらく考えた亨は、パンツタイプのオムツを買いに行った。
彰に強要されていることとはいえ、すでに亨の体はオムツがないと生活がままならないのだ。
それなのに、彰にされるがままになっているので、このような時に困るハメになる。
かといって、再びオムツなしの生活に戻すという思考は、亨にはなかった。
パンツタイプのオムツはすんなり穿くことができて、亨は安心して部屋でダラダラとしながら、ぼんやり考えごとをしていた。
その内に日が暮れて来て、夕飯でも食べようとしたところで、いつの間にかオムツが濡れていたことに気づく。
どうやらぼうっとしている間に漏らしてしまったらしい。
オムツを交換するべきかと思い、購入して来たオムツへと視線を向けたものの、まあいいか、と亨はそのままキッチンに向かった。
両親は今日も帰宅が遅いので、久々に一人きりの食事だ。
何かを作るのは面倒だったので、カップ麺で済ませてしまう。
その後、再び尿意を催した亨は、洗い物をしながら濡れたオムツの中にシャアア、と小便を漏らした。
二回もの小便を受け止めたオムツは、パンパンに膨らんでしまっている。
いい加減交換しなければ、漏れ出してしまうだろう。
それでも、亨は何となく交換する気になれずに、そのまま自分の部屋へと向かった。
何かをする気力もなく、携帯電話を片手にもてあそびながら、ぼんやりする。
そうしている間に、今度は便意を催した。
いつもなら、彰にからかわれながらオムツの中に、ムリムリと排便するのに。
そう思うといてもたってもいられず、亨は彰に電話をかけた。
コール音を聞きながら、机に片手をついた亨は、軽く足を開いて尻を突き出し、ぐっと下腹に力を込める。
『あれ?亨兄?珍しいね〜、電話なんて。どうかしたの?』
彰の、少し驚いたような声を聞きながら、亨はオムツの中にブリブリと大便を漏らした。
小便でパンパンに膨らんだオムツが、大便を受け止めて更に膨らんでしまうが、構わない。
「彰…っ。オムツ、おしっことうんこでいっぱいなんだ…。もう、漏れ出しちゃう…。交換、してよ…ッ」
電話の向こうで、彰が息を飲む気配がした。
そして、すぐに真へと相手が変わる。
それでも構わず、亨は同じように訴えた。
ニチニチニチ、と大量の大便がオムツの中に溢れ、太股の辺りから漏れ出しているのがわかり、ブルリと体を震わせる。
『兄貴。もうしばらく待ってて。すぐに帰るから』
慌てるように言った真は、即座に通話を切ってしまう。
それでも亨は、携帯を耳に押し当てたまま、ブリブリと最後まで大便を吐き出した。
太股をどろりとした大便が滑り落ちる。
ぼとりと床に落ちた大便をティッシュで拾ってトイレに捨て、そのまま亨は玄関へと向かった。
いつ頃双子たちが帰って来るのかわからないが、家の中で待っていることなどできない。
そう思い、玄関の前で、彼らが戻って来るのを、今か今かと待っていた。
どのくらいの時間が過ぎたのか、亨にはさっぱりわからなかったが、家の前にタクシーが止まり、双子たちが転がるように下りて来た。
そんな双子たちの元へと、亨はまろぶように駆け寄る。
「兄貴!ずっと外にいたのか?」
「どうしたの、亨兄」
驚く二人に飛びついた亨は、下半身を二人の体にすりつけるようにした。
「一人でなんて、いられない。お前たちがいないと、駄目なんだ」
涙混じりの訴えに、彰は目を丸くして、真は嬉しそうに笑った。
「とりあえず、家に入ろう」
「そうだな。まず、オムツを替えてあげないと」
双子たちに促され、家に入りながら、亨はおのれの性器が熱を持ち始めたことに気づいた。
もはや、後戻りなど到底できない。
そのことに、亨はもう、不安などなかった。
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