[携帯モード] [URL送信]

長編小説
8.おもらし
最近の亨は、双子たちの前でおもらしすることに羞恥を覚えなくなった。
それどころか、常にオムツを穿いていないと、尿意を感じたらすぐに排泄しようとしてしまう。
我慢することを止めたせいか、半ば無意識にオムツを濡らしてしまうこともあり、亨は休日に家の中にいる時でさえ、オムツを穿いていた。

そのことについて、彰はことのほか喜んでいるようだ。
何が楽しいのか、亨にはさっぱりわからないが、彰が楽しんでいるならまあいいか、と思える。

同様に、真にセックスを強要されることも、あまり抵抗を感じなくなった。
最初の内こそ、痛みを感じることが恐かったが、最近ではその痛みすら快感になりつつある。
人の体はかなり順応性を持っているものらしい。

いつも、真とのセックスの後は、ぐったりと意識を失うくらいに疲れ果てて眠りにつく。
そのまま朝まで寝てしまうこともあるが、時々夜中に目が覚めることもあった。

そういう時、たいてい体をきちんと清められ、きっちり服も着させられて、自分のベッドにひとりでいる。
何となく、それを寂しいと思ってしまうのは、おかしいだろうか。

朝まで抱いていて欲しいとはさすがに思わないものの、夜中に一人きりで目覚めるのは、泣きそうなくらい、嫌だった。

少し前までは、常にひとりでいたというのに。

双子たちと絶えず行動を共にするようになり、常にべったりと一緒にいる彼らを見て、羨ましいとさえ思えた。

兄弟という点では変わりがないのに、それが双子というだけで、どうしても入って行けない、不可侵の領域があるのだ。
もちろん、彼らがわざとそうしているわけではないのは、ちゃんとわかっている。

夜中にひとり、ベッドの上に足を伸ばして座っていた亨は、おのれの思考がかなりマイナス方向へ向かっていることに気づいて、どっぷりとため息を漏らした。

このままだと再び眠ることすらできそうにない。

のそりとベッドから下りた亨は、足音を立てないように注意しながら部屋を出て、隣にある双子たちの部屋へと入る。

元々、亨の部屋の隣は彰の部屋で、その向かいが真の部屋とされていた。
が、仲のいい二人は隔絶されることを嫌って、彰の部屋を寝室に、真の部屋を普段の部屋とした。

なので、亨の隣の部屋では、双子たちが仲良くベッドを並べて熟睡している。

彼らを見ていると、兄弟というだけでは有り得ない、双子ならではの神秘を垣間見ることがある。
今も、隣り合うベッドで熟睡している双子は、全く同じ姿勢をとっていた。

起きて動いている時は全然別人格なのに、こうして眠っていると、亨でさえ見分けるのが難しい。

「彰…。真…。起きて」

小さいながらも、しっかりとした声音で声をかけると、もぞりと2つの布団が動いた。

ホッとして、亨は二人が眠るベッドの間に飛び込む。

「え?どうしたの」
「何だ〜?」

ビックリしている双子たちに、亨は照れたように笑った。
そんな亨の心情がわかったのか、真の手が少し乱暴に亨の頭を撫でる。

彰は、その様子から察したようで、二人の間にちゃんと亨が座る場所を作ってくれた。

そこに腰を落ち着け、亨は思い切って自分の気持ちを打ち明ける。

夜に独りきりでいるのが嫌だ、なんて言うのは子供みたいだが、二人になら、そんな甘えたことを言っても大丈夫かも知れない。

案の定、二人はとても嬉しそうな顔をして、ぎゅうっと亨を抱き締めてくれる。

双子たちの体温が心地よくて、亨はうっとりと目を閉じた。
さきほどまでは、全然眠気などなかったというのに、安心したせいか急に眠気が押し寄せて来る。

双子たちの体が密着している上半身が温かいのは当然として、急に下半身も温もりに包まれた。

何かがおかしいと思いながら、亨はおそるおそる目を開く。
それと同時に、真と彰が声を上げた。

「兄貴。おしっこ出てるよ」
「うわ。生おもらしだ。すげー」

亨のズボンは、股間を中心にみるみる濡れて行く。
ジャアジャアと小便が下着の中に溢れ返り始めてようやく、亨は自分がおもらししていることに気づいた。

「えっ?何で…っ?」

焦って股間を押さえようとしたが、彰に手を捕らえられてしまう。
しかも、排泄中だというのに足を広げさせられた。

「や…やだ…っ。布団、汚れる…っ」

恥ずかしさからポロポロと涙をこぼし、亨は必死で首を横に振る。
そうしたところで、おもらしは止まらない。

すべてを吐き出した時には、下着とズボンはぐっしょりと濡れ、当然ながら、亨が座る布団にも染み込んでいた。

「うわ、やべえ。超理想的なんだけど」
「あはは。アキの変態センサーにどんぴしゃかよ」
「ごめん、まこっちゃん。俺も亨兄好きだわ」
「今更かよ。これだけさんざん自分好みに調教したくせにさ。遅すぎ」
「そういえばそうか。あはは。亨兄。泣かなくてもいいよ〜」

やたらとテンションの高い双子たちの間で、亨はショックでぐずぐずと泣いていた。
我慢を止めたからといっても、尿意や便意を催したらすぐに排泄する程度で、今日のように、自覚のないままおもらししてしまったことなど、なかったのだ。

どれだけ慰めても一向に泣き止まない亨に、双子たちは苦笑しながら着替えをさせ、オムツを穿かせた。
ベッドにはさすがに寝られなかったので、三人で床に布団を敷き、双子たちに抱きしめられながら、亨はようやく眠りについた。



[*前へ][次へ#]

9/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!